「思えば、かなう」

 1月12日、都内で開かれたある会合で、マラソンランナー、有森裕子さん(38)の講演を聞く機会があった。と言っても、会場に駆け付けたのは講演もほとんど終わりに近づいていたころで、聞いたのは最後のせいぜい15分程度。本当にわずかな時間だったが、いつの間にか、話の中身に魅せられ、目も潤んでいた。 「何も取り柄のないわたしは、人一倍努力しないと、人並みになれない。それだけを考えて生きてきた」(自伝的エッセイ「わたし革命」(岩波書店))という彼女。逆子、丙午の年に生まれた女の子、先天性両足股関節脱臼、自動車事故とハンディキャップばかりを背負った15歳の女の子が初めて頑張れるものとの出会いが走ることだった。

「思いが強ければ、夢はかなう。だれもが口にする言葉ではあるけれど、その「思い」を毎日の生活のなかで持ちつづけることが、どんな難しいかを、わたしは身をもって知った」(同)。実に簡単なことだが、1つのことをずっと思いつづけることは楽ではない。

女子マラソンでバルセロナ五輪銀メダル、アトランタ五輪で銅メダルに輝いた有森さんだが、岡山・就実高、日体大時代は全くの無名の存在。国体すら、出場の経験がなかった。この彼女が10月22日開催の「岡山国体」女子ハーフマラソンに出場し、高校時代からの夢を実現するとのニュースが翌13日、流れていた。いまさら、国体でもないだろうが、それでも夢は夢。このニュースを聞いて、他人事ながら、嬉しくなった。

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