何事も最後は「運」ですな

 「ゼロから無限のサイエンス。きっと未来がおもしろい。」という地下鉄のキャッチコピーにつられて、4月23日(土)午後、独立行政法人「理化学研究所」和光研究所(埼玉県和光市広沢2-1)の一般公開に出掛けた。

 理研は大正6年(1917)、自然科学における唯一の総合研究機関として設立された。、物理、化学、生物、工学、医科学にわたる広範な分野で、基礎から応用に至るさまざまな研究を実施、成果も多い。和光市以外に横浜、神戸、播磨、筑波などに研究所、仙台や名古屋にも研究センターを有する。

 文科系の人間にはなじみの薄い施設だが、何事も勉強。鈴木梅太郎記念ホールで行われた「新元素(113番元素)の合成」に関する中央研究所重イオン加速器科学研究プログラム先任研究員、森田浩介氏の講演をしばらく聴いた。

 自然界に安定して存在する元素は原子番号92番のウランまで。93番以降は「超重元素」と呼ばれ、寿命が短いため、自然界には存在しないらしい。そのため、加速器を使って加速した原子核ビームを標的原子核に衝突させて人工的に合成し、その存在を確認しているという。

 超重元素の発見は米国、ロシア、ドイツの競争。93番-103番はすべて米国、104番ー106番は米国とロシアが争い、107番ー112番まではすべてドイツが発見した。113番の発見をめぐっては日本がドイツと激しい研究合戦を展開していたが、2004年7月23日の夜、森田氏らのチームが合成に成功した。

 113番を世界で初めて発見できたポイントは、 「加速器が世界最高性能だったこと、原子核の入射エネルギーの精度が最適だったこと、そして運ですね。幸運がずっと続いてきた、そしてその幸運を逃さなかったこと」だとか。「私たちは、やれることは全部やっている。あと残っているのは運でしょう。実はいろいろな神社にも行きましたよ。お賽銭は113円と決めていました」。何事もやはり、最後は運ですな。

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