ダボス会議

 通称「ダボス会議」の主催者で有名なクラウス・シュワブ氏の昼食会に出た。世界の政財界のリーダーたちを集合させるパワーの源泉がどこにあるのかに興味があったが、ジスカールデスタン仏元蔵相を思い出す風貌を見ながら、この人物に理路整然かつ熱心に口説かれたなら、会議出席を断り切れないだろうな、と感じた。

 世界の直面している課題(リスク)はテロ、財政危機、石油供給不安などさまざま。しかもこれらの諸問題を解決する国連、G8、APECなどのメカニズムもうまく機能できないのが現実。そこで必要なのが自主性をもって考えるプラットフォーム(基盤)であり、関係者間のパートナーシップであり、それを構築する場がダボス会議だというわけだ。単なる会議というよりも、むしろ、政治やビジネスをつなぐネットワーキングの場としての価値のほうが大きそう。

 「欧米の人間は中国がアジアのNO1と思い始めているが、それは明らかに間違いだ。NO1はアジアのGDP(国内総生産)の7割を占め、民主主義国家でもある日本だ。日本はソフトパワーを駆使して、インフォーマルな場で、しっかりプレゼンスを高めて欲しい」と強調する。

 シュワブ氏がNPOとしての「世界経済フォーラム」を設立したのは1971年。政財界エリートを散りばめたグローバリズムの拠点に対しては、「大国主義」「覇権主義」などの批判はあるのは事実。「世界社会フォーラム」という対抗会議が存在するほどだ。主張の是非はともかく、日本にとって重要なのはどちらの会議にも積極的に出掛けていって、きちんと日本を代弁する必要性がこれまで以上に強まっていることだけは確かだ。

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