弘前ねぷたまつり

「全国には、農作物の豊作を祈願して、さまざまな燈籠に灯をともして行うまつりがありますが、各地にある『七夕まつり』の行事である”ねむり流し”や”虫送り”といった風習もねぷたまつりと密接な関係があります。
 弘前ねぷたまつりは、約300年の歴史の中で、こうした色々な風習と溶け合って現在に永々と引き継がれています。
 また、ねぷた起源の中で、坂上田村麻呂の蝦夷征伐の説もありますが、伝説の1つとして語り継がれています」(弘前市立観光館)

 弘前市に着いたのは8月7日(日)の朝だった。1日から行われていた「弘前ねぷたまつり」の最終日。10時からの最後の合同運行に何とか間に合った。弘前ねぷたの特徴は、扇型をした扇灯篭と呼ばれる山車にある。鏡と呼ばれる前面に三国志や水滸伝などの歴史物語をテーマとした絵が描かれ、背面には憂いを含む美人画や妖怪が描かれていて、ちょっと不気味。

 1年中ねぷたを楽しめるのが「津軽藩ねぷた村」(弘前市亀甲町61)。祭りに行けなくても、祭りの雰囲気を体験できるほか、村内の「山絃堂」では毎日、津軽三味線の生演奏を聴ける。腹にどっしりくる三味線の迫力に体が震える。

 「弘前ねぷた」は海沿いの青森市にいくと、「青森ねぶた」と「」「ぷ」が「ぶ」に変わる。「ねぷてぇ(眠い)」が浜なまりが入って「ねぶてぇ」になったとか。規模では「青森ねぶた」のほうが大きいが、最近は「からす族」の登場で、運行に混乱が生じているようだ。また100年の歴史を曳く五所川原市の「立佞武多」(たちねぷた)も観光客を集めている。

 弘前市は津軽10万石の城下町として、約400年の歴史を持つ街だ。日本一の生産量を誇るりんごの町でもあり、まだ青いりんごが色づくのを待っていた。弘前城あり、津軽富士と呼ばれる岩木山(標高1625m)あり、キリスト教会ありで、弘前市は落ち着いた佇まいを見せる街だ。

 

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