「先端医療センター」を見学する

 神戸に来て3週間。平日はともかく、週末はなるべく、関心テーマを設定して、重点的に動き回るのが楽しみだ。対象は観光であれ、研究であれ、何でもいい。自分の足と目をたっぷり使って、身体全体で空気を吸いながら、街を理解するためだ。疲れるし、非常に原始的だが、身体に覚えこませるのが最も効果的だ。頭は忘れても、身体が忘れない。

 新聞を読んでいたら、「神戸医療産業都市構想」の一般公開(5月20日)の案内が載っていたので、早速出掛けた。市民向け講演会と施設見学。神戸市が中心になって推進している野心的なプロジェクトで、場所は神戸空港と市の中心地・三宮の間にある人工島ポートアイランド。

 京都大学、大阪大学、神戸大学などの大学や研究機関、企業との連携で、関西圏全体で生命科学分野のクラスター形成に向けた取り組みが続けられいる。集積施設は以下の通り。

 ①神戸市立中央病院
 ②新中央市民病院(予定)
 ③理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)
 ④先端医療センター(IBRI)
 ⑤神戸国際ビジネスセンター(KIBC)
 ⑥神戸バイオテクノロジー研究・人材育成センター(BTセンター)
   /神戸大学インキュベーションセンター
 ⑦神戸バイオメディカル創造センター(BMA)
 ⑧神戸臨床研究情報センター(TRI)
 ⑨神戸インキュベーションオフィス(KIO) 

 見学したのは先端医療センター。同センターの中心的な治療分野は身体の失われた組織や機能を回復させる再生医療。具体的には血管と歯槽骨の再生だ。PETカメラやCT-ライナックなどの最新医療機器(残念ながらドイツ製ばかり)を駆使し、診断・治療が始まっている。

 医療関連産業はガーゼやメスなどから精密な画像診断機器まで、非常にすそ野の広い産業。神戸市の狙っているのは医療関連企業進出の受け皿を作ることで、ビジネスチャンスの創造だ。

 この試みが成功しているのかどうかは知らないが、ここに進出している企業は70社以上に上るという。平成11年実施の「神戸医療産業集積形成調査」では、中核施設が完成してから20年後、市内では1万8000人の雇用と、約3300億円の生産誘発効果があると試算されている。

 高齢化が加速度的に進行する中、医療は国民最大のテーマ。誰が最初に打ち出した構想なのか知らないが、先見性のあるプロジェクトであるのは確か。神戸空港からポートライナー(無人モノレール)で5分という地の利の良さも大きい。「臨海型開発」から「臨空型開発」に転換できるかどうかが勝負かもしれない。

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