地才地創シンポジウムIN東播磨


 神戸新聞創刊110周年記念事業「地才地創シンポジウム」の第3弾は東播磨の中心地、加古川市の兵庫大学で開かれた。この地域の特徴はやはりため池だ。全国にため池は2万5000あるが、そのうちの4分の1に当たる5000がこの加古川市、明石市、高砂市、稲美町、播磨町を擁する東播磨地域に存在する。

 兵庫県で最も古いため池は稲美町の天満大池の原型となる岡大池。白鳳3年(675)に築かれたという記録が残っているという。ため池は農業用水を確保するために築かれた人工的な水域だが、長い年月の間に、様々な生き物が移り住み、ため池ならではの自然環境が作られてきており、東播磨地域ではその景観を形作る貴重な存在だ。

 ため池の持つ文化資源としての役割や地域交流の場としての舞台やレクレーション空間として生かしていくことで、地域の再生を目指していくのがシンポの狙いだった。とりわけ都市化の進む地域ではため池は「きたない、臭い、ゴミだらけ」で”迷惑施設”という側面もあるが、それをいかにプラスにパラダイムシフトしていくかが大きな課題のようだ。

 パネリストの木下一成氏(株式会社一成代表取締役)によれば、豊岡市のコウノトリも最初は地域住民にとってむしろ”害鳥”だったが、3年で”益鳥”へとがらり変わったといわれる。意識を変えて本気で取り組めば、道は開けるというわけだ。

 面白いのは「いなみ野パールプロジェクト」。ため池に生息しているドブ貝(ぬばたま貝)を放流して真珠を養殖する試みだ。

 「池が汚れて臭くなるのは富営養化。酸欠であおこ発生やヘドロがたまり植物プランクトンだらけになる。池の中の循環が停止する。栄養ありまくりだから、冬は水を抜いて干すのが一番」(木下氏)だという。これは参考になった。

 「鍬と宇宙船」~自然とどこまで共生できるか~の題で基調講演を行ったのは元宇宙飛行士で、農業兼著述業の秋山豊寛氏。それに作家で、いなみ野ため池ミュージアム運営協議会会長の玉岡かおる氏がコーディネーターを務めた。

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