篠山散策

 名古屋在住の友人夫妻が丹波の自宅にやってきた。中山間地域の田舎でゆっくりくつろいでもらうのが趣旨で、有名観光地のような友人をもてなす観光資源は豊富ではない。それでも、地元ならではのもてなしを探す良い機会だったので、見繕った。2泊3日。

 初日は隣りの篠山市を訪ねた。車で20分。丹波と言えば、丹波市より、むしろ篠山のほうが有名である。「デカンショ節」。街並みも小京都の風情を色濃く残し、ぶらぶら歩きが楽しい。季節によっても異なるが、9月中旬に試したのは以下のコース。

①歴史美術館
 

明治24年(1891)に篠山地方裁判所として建てられ、昭和56年(1981)まで使用された木造建築物。内部を改装し、城下に伝わる美術品や篠山藩窯として開窯した王地山焼の名品などが展示されている。

②篠山城大書院
  
徳川家康が慶長14年(1609)に豊臣氏の居城・大坂城の包囲と豊臣家ゆかりの西日本の諸大名を抑える拠点とするため築いた城。天守閣は家康の命で作られず、大書院が建てられた。初代城主は家康の実子、松平康重。松平氏3家8代と青山氏6代の居城。篠山藩は5万石。大書院は廃城令後も残されたが、昭和19年の火災で焼失。平成12年に復元された。入母屋造り・葺き(こけらぶき・サワラ材)。

③料理旅館「近又」(きんまた)
  
篠山城築城と時を同じくして建てられた旅籠が「近江屋」。主の名は近江屋又兵衛とか。明治初頭に屋号を「近又」改めた。桂小五郎が「好きなお菊と丹波篠山郷近又に宿る」と書いた日記を山口県に残しているという。猪をミソだけで煮るぼたん鍋が冬の味覚として有名だが、今は初秋。牛肉とろろ御前をいただいた。

④御菓子司「清明堂」
  

 デザートはすぐ近くの清明堂の座敷で、「栗おはぎ」をいただいた。名産丹波栗で作った純栗あんで純もち米を包んだ絶品。熱い抹茶でのどを潤す。安政2年創業。

⑤小田垣商店
 
天下に名高い丹波の黒豆の卸・小売店。門構えからして風格があり、店の中も昔のまま。今年の豆はこれからが収穫で、製品として出回るのは12月だとか。店をのぞいてみるだけでも楽しい。

⑥兵庫陶芸美術館
 篠山市街から少し離れた今田町立杭(たちくい)に2年前建てられたのが県立兵庫陶芸美術館。なかなか趣のある建物で、ゆっくり作品を鑑賞できる。

⑦立杭「陶の郷」


  立杭は丹波焼の産地。瀬戸、常滑、信楽、備前、越前と並ぶ日本6古窯の1つ。たまたま立ち寄った茶陶「まるか窯」で登り窯を見学したのは僥倖。2年ぶりの火入れの日だった。

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