靴磨き
最近になってどういうわけか靴が気になって仕方ない。ひどく汚れていて、せっかく背広やコートでおしゃれをしても、靴が汚れていたら、すべてが帳消しだ。現役のときはほとんど気にしていなかったのに、現役を卒業してから、そんなことが気になりだすなんて、少しおかしい。
ズボンの線も綺麗に付いているのに、足元を見たら、靴が汚れてくすんでいるなんてことは普通だった。それが最近、気になってしようがない。靴が汚れていると、気分まで滅入るのだ。自分でもその理由が分からない。
これまで自分で磨いたこともある。ところが、これがなかなか難しい。自宅で磨いても、ピカピカにならないのだ。ただ塗るだけの靴クリームでは光沢も出ない。どうしたら、あのピカピカした光沢が出るのだろう。
JR神田駅で靴磨きをしているおばさん。もう10年、20年も同じ場所に座っている。神田に行ったら、必ず磨いてもらう。昔は都内でも何ヵ所か、こうした靴磨きのおじさん、おばさんにお目に掛かった。今ではまず見掛けない。今日も磨いてもらった。取りあえずピカピカ。気持ちいい。
「地べたに座って磨くのは辛いんだよ。特に冬場は大変。ほっかいろのおかげで何とか続けている。一度風邪を引いたりすると、仕事に出てくるのが辛くなる。高齢者が多いから、自然と減っていくんだよ」。大変な仕事である。あと何回磨いてもらえるんだろう。