脳は衰えない(2)
海馬の神経細胞の数が多ければ多いほど、たくさんの情報を同時に処理できる。海馬が大きく発達していると、記憶力が高まることが実験によって確認されている。人によって、10%や20%の神経細胞数の違いが出るという。個人差が大きい。
海馬の神経細胞を増やすことも重要だが、もっと重要なのは神経細胞と神経細胞をつなぐ結合部である「シナプス」。シナプスはモノを記憶できる上、同じ線上でも、ある地点にあるシナプスと別の地点にあるシナプスでは記憶が異なるという。1つの神経細胞にはおよそ1~3万個のシナプスがあるという。
神経細胞を1個1個ばらばらにしても、ネズミにも人間にも差がないとか。昆虫でもなめくじにも神経細胞はあるが、人間との差は関係性。神経細胞と神経細胞が織り成す社会が違う。ネットワークのパターンが違うという。つながり方が違う。関係の自由度も人間は他の動物に比べ、とても高い。
神経細胞は意外とタフで、大丈夫。使えば使うほど密になる。シナプスを形成する。「神経細胞同士の関係を『都市設計』だと思うと理解しやすい。都市をむやみに増やしても、道が通じていなかったらだめだし、逆に少ししか都市がなくても、その間をびゅんびゅん車や飛行機で飛んでいたら、自由にすばやく行き来できる」(糸井氏)
シナプスのネットワークを頭の中につくることが考えることで、シナプスの増加に関しては年齢制限などない。人間は死ぬまでずっと、頭を良くし続けることができる」と佐藤富雄氏は強調する。60代、70代でもどんどん脳は発達するので、「再学習」し、学びの人生を提案。『50歳からの勉強法』の副題が「自分の夢が実現する」となっているのはこのためである。
海馬のメカニズムを知ることで、何となく、これからの人生に自信が湧いてきたのは嬉しい。本当にそうなのかは別にして、そう考えることができるだけでも楽しい。脳は前向きだ。