政権交代

                       (NHKテレビ)

 午後8時の開票終了と同時にNHKが放ったのがこれである。この日行われた総選挙で、野党民主党が300議席を上回る議席を獲得し、政権交代が確実視されるとの報道だ。出口調査を基にした予想だが、外れることはまずない。いきなり、大量得点した野球の試合みたいで、幕が上がると同時に、あとは消化試合だ。

 中選挙区時代の開票速報が懐かしいと思っても、もうあの時代には戻れない。日本のように時差のない国ならともかく、米国のように5つも時差のある国では、東部で結果が出た時点ではまだ投票が始まっていないため、いわゆるバンドワゴン現象が出る。大変な時代である。

 本格的な政権交代は事実上初めて。しかし、戦後ずっと同じ政党が政権を握ってきたこと自体、世界的には極めて不自然なことだし、普通のことではなかった。大騒ぎすることではない。日本もやっと普通の国になったということだ。

 初めて政権を獲った民主党政権では混乱が必至だ。混乱して当然だろう。問題は民主党が政権を獲ったから、すぐに事態が好転するわけではないということを覚悟しておくことだ。むしろ、混乱して、一時的には事態は悪化するのではないか。国民はそれを分かった上で、政権交代を選択した。辛抱しなければならない。国民側にも政権交代を選んだ責任があるはずだ。

 避けるべきは選択した民主党政権が直面するであろう対応のまずさを性急に批判すべきではないということだ。それが性急すぎると、場合によってはまた政権交代ということにもなりかねない。ここは新政権もそれを選んだ国民も腹を決めておかねばなるまい。

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