神戸新聞の7日間

 今年は1995年に起きた阪神淡路大震災から15年。1月17日午前5時46分。未曾有の震災は多くの被災者を生んだが、地元紙・神戸新聞もその1つ。壊滅状態の編集局の中で、記者らが何を考え、どう動いたか。地震発生後7日間の取り組みをまとめたのが『神戸新聞の7日間』。それをフジテレビがドキュメンタリー・ドラマ化した。

 災害体験は風化する。特に悲惨な体験を当事者としては少しでも早く忘れたいのだろうし、忘れることができるからこそ、また生きていけるのではないか、とも思う。嫌なことをいつまでも引きずっていたら、新しく生きられないのも事実だ。

 しかし、忘れてはならないものがあるのも確かである。後世に引き継いでいく必要のあるものも存在する。引き継いでいくためには正確な記録が必要だ。事実を記録し、それを後世に伝えることが記者の仕事であり、新聞社の仕事である。

 震災体験を本当に腹の底から理解できるのは被災者だけかもしれない。しかし、南米ハイチで大地震が発生するなど、いつどこで、どんな災害が起こるか分からない。いつ、自分がそれに巻き込まれ、被災者の立場に放り込まれるのか分からない。数年後かもしれないし、明日かもしれない。

 大変な時代にわれわれは生きている。しかし、時代がどんなに大変でも、これからも未来を信じて、生き続けなければならないことをこのドラマは訴えている。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.