「働かされる子どもたち」

 日本唯一のフォトジャーナリズム月刊誌『DAYS JAPAN』の「命の写真展」が東京都健康プラザ・ハイジア1階アートウォール(新宿区歌舞伎町2丁目)で開催されている。本当にビルの壁面を借用した入場無料の写真展だが、展示されているどの写真も胸を打つ写真ばかりだ。

 明るい写真、ほのぼのとした写真、救いのある写真、美しいだけの写真は一枚もない。どの1枚もこの地球に生きる命のありようを根底から考えさせる写真ばかりだ。しかも、これが今の世界の現実そのものなのだ。直視したくない現実が見る者を捉えて放さない。

 「母と子の旅」「紛争と災害」「ガザへの爆弾」「アフリカの光と影」「D-Light祝島など」と並んで「働かされる子どもたち」が展示されている。

■砂と石を分ける作業をするリシュ。2500人の女性と1000人の子どもを含む少なくとも1万人が、河岸から石や砂を集める仕事に従事している。バングラデシュ。2008年。Photo by G.M.Bアカシュ。第5回国際フォトジャーナリズム大賞審査員特別賞。

■リキシャ(三輪自動車)の部品を作る工場で働く少年。ホコリやガス、熱、騒音にさらされる危険な仕事だ。ダッカ・バングラデシュ。2006年8月。Photo by G.M.Bアカシュ。第3回国際フォトジャーナリズム大賞第3位。

■銀鍋の製造工場で働く11歳のジャイナル。3年間同じ工場で働いている。午前9時から午後6時までの賃金は1カ月に10ドルにしかならない。ダッカ・バングラデシュ。2008年1月。Photo by G.M.Bアカシュ。第5回国際フォトジャーナリズム大賞審査員特別賞。

 この写真はたまたまバングラデシュだが、世界各地でこうした悲惨な状況が起こっているのだろう。工場で働かされることはないまでも、日本でも、児童虐待の一端が露出している。ゆったりする暇もなく、学校や塾での勉強に追いまくられる子どもたちの姿は何を物語るのか。電車通学する小学生・中学生・高校生たちの手に握られている本が教科書以外のものだったことは思い出せない。

 子どもは存在自体が「未来」だ。存在するだけで、「将来」を予感させ、その場を明るくする。何と神々しい存在なのか。子どもに未来を与えない世界には、「将来」が存在するはずがない。このことだけは、いつの時代になっても真実である。

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