「地うなぎ」とは何ぞや

①肝焼き+骨せん

②地うなぎ重(静岡県大井川河口吉田産)

 今夏の土用の丑(うし)は26日(月)。いまいち由来はよく分からないが、宣伝というのは恐ろしいもので、土用の丑の日はうなぎを食べることを反射的に刷り込まれてしまった。バレンタインデーやプラチナデーと同じで、コマーシャルの影響はげに恐ろしい。

 土用の丑にはまだ1週間もあるが、自宅近くのうなぎ屋「うなぎん」でうなぎを食した。いつも桃太郎寿司にはいくものの、谷原でうなぎはないだろうという先入観にとらわれていた。たまたまあまりの暑さに誘われて、桃太郎の前を通り越して「うなぎん」に入った。

 注文したのは地うなぎ重(静岡県大井川河口吉田産)。肝焼き、骨せん、肝吸い、酢の物、お新香付で3200円也。それなりにふっくらとおいしかったが、気になったのは「地うなぎ」というネーミング。地ビールや地鶏の類だろう。

 うなぎと言えば、「天然うなぎ」と「養殖うなぎ」しか知らなかったのに、いつの間にか登場したのが「地うなぎ」。「天然の味をそのままに甘い香りと肉質で、脂ののりと旨味にこだわったまぼろしの逸品」という。

 問題は、しかし、「天然」ではないことだ。川口水産のホームページによると、天然うなぎに近く育てたのが地うなぎのようだ。それでは養殖とどう違うのかと思うが、その辺りはまだ調べ切れていない。恐らく、育てる際の水がポイントなのだろう。

 天然うなぎは太平洋で産卵・孵化し、黒潮に乗って日本にやってきて、河口付近や川を遡上して育つ。それに近く育てるというのは言葉では分かるが、「天然」と「養殖」の間には深い川があるはずだ。食に対する人間の欲望は果てしない。その欲望に食われるうなぎも大変である。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

東京日誌Ⅱ

Previous article

夕焼けと月