牧野記念庭園記念館企画展「明治のみかん図」

  日本の「植物の父」といわれる牧野富太郎博士(1862-1957)が1926年から死去するまで使っていた居宅が練馬区立牧野記念庭園(東京都練馬区東大泉6丁目)として整備され、一般開放されている。同じ区内に住みながらまだ行ったことがなかったので、日差しの暖かな日曜日の午後、訪れた。

 こじんまりとした居宅ながら、自宅庭園には博士が郷里・高知県の高知市内仙台屋の前にあったヤマザクラに名前を付けた「センダイヤザクラ」や博士が発見し、亡くなった妻の名前を付けて命名したササ「スエコザサ」など300種類以上の草木類が植栽されている。ちょうど紅葉が綺麗だった。

 居宅の一角にある記念館では、博士が植物採集や研究のために愛用した道具や日用品、直筆の執筆原稿などが常設展示室で展示されていた。また11月27日からは、博士が自分の研究資料として収集していた多くの植物標本や書籍、植物画のコレクションの中から、明治前半頃に描かれた柑橘類の図約50点を展示する企画展「明治のみかん図―牧野富太郎の植物画コレクションより―」が始まった。2011年1月30日まで。

 図を手掛けたのは服部雪斎や山田清慶といった幕末明治期に活躍した植物画家たち。温州ミカンやダイダイ、ブシュカン(仏手柑)、リマン(スダチのこと)、ボンタン、ブンタン、ザボン、シトロン、コウジ、ユコウ、ウコンタチバナ、九年母など、知らないみかんもあった。

 みかん類の数は今ではもっと増えて、博士が生きていたら、目を回したことだろう。それにしても、いつの世にも絵心を持った人はいたものである。

①庭園入口


②紅葉

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