2010年の中国GDP、日本抜いて世界2位に

 20日はさながらチャイナ・デーだった。ワシントンでは胡錦濤国家主席がオバマ米大統領と会談し、世界に大国ぶりを見せつける一方、北京では中国国家統計局が、2010年の国内総生産(GDP)が実質で前年比10.3%増の2ケタ成長を達成。国際比較で使われる名目GDPが日本を抜いたのは確実とみられるからだ。

 日本が西ドイツを抜いて「世界第2位の経済大国」に初めて躍り出たのは1968年。私が大学に入った年でもあった。戦後の生産水準が戦前最高時の水準を回復した1955年から、マイナス成長に落ち込む1974年までの20年間に及ぶ高度経済成長時代の終盤だ。

 しかし、日本経済は石油ショック後も見事に立ち直り、安定成長を維持し、その後42年間にわたって「世界第2位の経済大国」の座を守ってきた。それが遂に力尽きて、3位に転落した。足の止まった日本を一気に抜き去ったのは新興国のチャンピオン・中国だった。

 大和総研の試算によると、10年の中国の名目GDPはドル換算で5兆8895億ドル。2月14日に内閣府が発表予定の日本の名目GDPは5兆4778億ドルと推定されている。中国とは4000億ドルも差を付けられる見込みだ。

 ただ、何せ中国の人口は13億人超。1億人超の日本の13倍だ。胃袋の数が圧倒的に違う。単純に規模の大きさを比較しても意味がないようにも思えるが、それを言い出したら話が止まる。人口規模も国力の大きな物差しだからだ。これは認めるしかない。

 問題は1人当たりのGDP。国際通貨基金(IMF)の統計などを基にした推計では10年の日本が4万2431ドルに対し、中国は4412ドル。日本の10分の1程度だ。それでも日本人に「幸福感」があるかと言われると、そういう実感を持てないのが正直なところだ。GDPは国家経済を計る1つの物差しではあるものの、人間の心までは計れないということなのだろう。

 中国が改革・開放政策に転じたのは1978年。31年後の2009年には世界最大の輸出国になり、32年後の10年には自動車生産・販売で世界1、GDPでは世界2位になった。08年のリーマン・ショック後の世界経済立て直しの主役は中国。世界経済の中国頼みは続いている。

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