メルトダウン起こした福島原発事故


           (いずれもNHKニュースウオッチ9から)

 東京電力福島第1原子力発電所の敷地内の土壌から28日、半減期が極めて長く、毒性の高いプルトニウムが初めて検出されたことについて、経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官と枝野幸男官房長官はともに29日の記者会見で、「事故の重大性、深刻性を表している」「大変深刻な事態だ」との見解を示した。

 プルトニウムは、長崎に投下された原子爆弾に使用された放射性物質だが、検出された量もごく微量で、人体への影響はない値だとされる。とはいえ、燃料棒が溶けて漏出した。燃料棒を入れている原子炉圧力容器やその外側にある原子炉格納容器、それらが設置されている圧力抑制室など5重の壁を突破しただけに深刻だ。

 既に検出された放射性物質はヨウ素131、セシウム137、ジルコニウム95。炉心が損傷した時点でプルトニウムの検出は予想されていたという。他の物質より分析に時間がかかっていた。

 プルトニウムが何号機から漏れたかは不明だ。最も可能性のあるのは使用済み核燃料を再利用して作ったウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使って「プルサーマル」発電を行っている3号機。また、通常のウラン燃料を燃やし続けると燃料棒の中にプルトニウムが出るため、炉内の燃料棒が損傷している1,2号機から漏れた可能性もあるという。

■米スリーマイル島事故=原子炉は事故発生後、設計通り緊急停止。緊急炉心冷却装置は作動したものの、作業員が過剰給水を恐れ満水前に停止したため空炊きとなり、メルトダウンが起きた。炉心が溶け出して燃料の45%に相当する62トンが原子炉圧力容器の底にたまる。圧力を下げるために「圧力逃がし弁」が自動的に開き、そこから放射性物質が外部に漏れた。その後、運転員による給水回復措置が奏功し、再臨界による爆発は起こらなかった。

■旧ソ連チェルノブイリ事故=実験中の原子炉で運転員が制御棒を手動で下げようとしたところ、原子炉が暴走し始め、大爆発を起こし、火柱が夜空高く立ち上った。広島級原爆500個分の放射性物質が飛び散り、風やジェット気流に乗って、ロシア西部を汚染した。

 どうやらチェルノブイリほどひどくはないが、スリーマイル島以上の深刻さが時々刻々進行していると認識すべきのようだ。東電や協力会社など担当者の決死の作業が続く。専門的なことは何も分からない。彼らの仕事を信頼するだけだ。

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