「世界の旅」から日本が見える

雑誌『公研』7月号

雑誌『公研』7月号を読んでいたら、旅行ジャーナリスト・兼高かおる氏が登場していた。とにかく懐かしい顔だ。「兼高かおる世界の旅」(TBSテレビ)は家に入ったばかりのテレビで小学生の私が意識的に見始めた最初の番組の1つだ。

私のテレビ時代はこの番組とともに成長したように思う。まだ見ぬ世界各地の映像は新鮮で、自分の世界に対する興味・関心はこの番組で培われたと言ってもいい。放映は日曜日の朝だったと思う。この番組をしっかり見ていたおかげで、世界地理に詳しくなり、中学時代の地理の通信簿は5だった。

総じて芳しくない評価が多い中で、地理だけは異彩を放っていた。自分でもなぜ地理にはまったのか分からない。この番組との相性が良かったのかもしれない。番組を通じて世界への関心が開かれ、結果的に海外への志向を高めていった。職業選択にも決定的に影響を与えた。

1つの旅番組が私の人生を大きく導くことになったような気がする。何がその人の人生を大きく左右するか分からない。しかし、誰にでもその「何か」があることだけは確かだ。不思議なようだが、必然なのかもしれない。

要はそうして運命的に出会った「何か」とどのように付き合っていくかなのだろう。付き合っていけるかどうかも、誰がが決めるわけではない。何となく魅かれ、どうしようもなく引き寄せられ、そしていつの間にか、自分にとってなくてはならないものになる。これこそ人生の不思議なのだろう。

兼高かおるさんは1928年神戸市生まれ。ロサンゼルス市立大学に留学。58年に「80時間世界一周」に挑戦し、73時間9分35秒の新記録を樹立。これをきっかけに、TBSテレビで59年から始まった『兼高かおる世界の旅』のレポーター兼ナレーター兼プロデューサーを務めた。渡航国は合計150カ国以上。31年間の長寿番組だった。

 

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