民主党新代表に野田佳彦氏

正式発表前に”当確”-NHK

 

29日実施された民主党代表選は決選投票の結果、菅直人政権の中核を担う野田佳彦財務相(54)が「親小沢派」の海江田万里経済産業相(62)を逆転して新代表に選出された。与党民主党新代表は30日の国会で新首相に指名される見込みだ。2年間で3人目の首相の誕生だ。

野田氏の演説が良かった。演説がうまいと思った。地元千葉の辻立ちでの話は名人芸だという。信念・政策で政治家を目指した人たちばかりなのだろうだから、この演説を聞いて彼に投票した人はいないだろうと思ったら、どうやら結構いたらしい。跳んだり跳ねたりしない「どじょう」やスノーマンの話、「ノーサイドにしましょう、もう」-このあたりは聴かせた。

金魚ばかりが目立つ今の世の中で、政界のトップに超地味目な人が就くのも時代の要請かもしれない。恐らく、これは極めて日本的な世界のような気がするが、とにかく、差し当たりこの日本が大事だ。この日本を何とかしなければならない。今や欧米先進国も悪い意味で「日本化」してきたと指摘されている。悪の権化みたいな言われ方をする日本が閉塞状況を打ち破らない限り、汚名は返上できない。

新首相にも期待はしない。期待はしないが、鳩山・菅とパフォーマンス好きな金魚政治家でうまくいかなかったのだから、この2人と対極的に超地味な野田氏にバトンタッチするのは賢明な選択かもしれない。どんなにだめ政党でも、解散・総選挙に追い込まれない限り、民主党があと2年間、政権を担当するのを阻むことはできない。彼らに任せるしかないのだ。

2年後の総選挙で自民党が政権に返り咲いたとしても、うまくいくかどうかは分からない。自民党だろうと民主党だろうと、どちらでもいい。荒れ狂う世界の中でどこに向けて進んでいるかも分からないまま漂流し続ける徒労感、生きていく希望さえも持ちにくい時代への失望感、これをこうすれば一応の未来・将来が開けてくるとなかなか信じられない閉塞感などを突破しようとするエネルギー(気力・知力・体力)を与えてくれるのならば。

野田氏の演説はこうした徒労感、失望感、閉塞感に押し潰されそうになっている日本人の心情によく沁み込んだ。まさか民主党議員に響くとは思わなかったが、届いたのかもしれない。日本の政治が、そして日本人の存在がこれ以上スパイラル的に落下・沈没していくのを見るのは耐えられない。国民不在の内向き政争に明け暮れた民主党が、野田新首相の登場で少なくても、土壇場の瀬戸際で踏みとどまってくれることを祈るしかない。

期待はしない。期待すれば、それが裏切られたときの失望・絶望が大きいからだ。期待・希望を持てないのは悲しいが、日本の現状は残念ながらそうだ。今はひたすら祈るだけである。

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