『衆院選後の日本-民意をどう読むか』

田舎と高齢者ほど「無党派」に

 

テーマ:『衆院選後の日本-民意をどう読むか』
会見者:松本正生埼玉大学教授
会見場所:日本記者クラブ(2012年12月19日)

・今回の衆院選の投票率が60%台を割り込む戦後最低だったが、決して低いとは言えない。60%はミニマム水準を充足している。

・関心層ほど「決められなかった」。白票が200万票(小選挙区)もあって、悩んだ末に棄権した人もかなりあったのは明らか。

・構造的問題も見逃せない。田舎と高齢者ほど「無党派」になっている。「無党派」は今や中高年の専売特許になっているのははっきりしている。

・総選挙は1億人の関わる重要な仕事。それが直前にならないと日程が分からない。ビジネスの世界なら完全にアウトだ。それを「首相の専権事項」だと言って政治のわがままを許している。もうこれは政治の特権ではない。有権者の視点が重要だ。

・これまでは地域選挙では先行していた「その都度支持」が国政選挙レベルでも一般化してきている。それと中高年の「選挙ばなれ」が広がっている。この2つが同時並行的に起こっている。7割は特別の支持政党を持たない中で、その都度どこに入れるかに変わってきている。

・小選挙区制は過激な変動をもたらす。政党に緊張感をもたらすとともに、「専権事項解散」(抜き打ち解散)の抑止力になるのではないか。また、小選挙区制ではなかなか政治家が育たない。

・日本の政党は、政党であることに耐えられない。比例代表の名簿構成がそうだ。重複立候補については「同じ順位に何人書いてもいい」という驚くべきルール(比例での当否は小選挙区での惜敗率で決まる)がある。これは政党が政治家を品質管理していないことを意味し、順位付けしないのは政党の責任放棄だ。ひたすら有権者にもたれかかった行為であり、ただのギャンブルにすぎない。有権者の真剣な投票をギャンブル化している。これを変えようという議論がないのはどうしたことか。

・政党に「A決勝とB決勝」の自己選択を迫ったらどうか。単独過半数を獲得して政権を目指すのか、そうでないのか。少数意見は尊重されるべきだが、横並びの問題もある。

・報道機関の実施する情勢調査とそれに基づく予測報道は予想以上の効果がある。予測報道を実施することによって「勝ち馬効果」が起こるのは不可避だ。それを前提に報道すべきだ。

・今回、埼玉県内13カ所で世論調査方式の出口調査を実施した。1カ所90人、合計1344人に聞いた。質問内容は誰に当選したかではなく、①携帯電話だけを使っている②主に携帯電話を使っている③両方同程度使っている④主に固定電話を使っている⑤固定電話のみを使っている-かどうか。結果は①21.4%、②39.8%で61.2%、全体の6割を占めた。

・RDD調査(Random Digit Dialing、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけて調査する方法)のリーチ度。若い人にリーチする秘策はない。

・政党支持が軽いものに変質している。政治や政策の効果を実感できなくなっていることも政治離れをもたらしている。

・今回の選挙で2大政党制が終わったかどうかは次を見ないと何とも言えない。有権者の中で2院制をどれだけ意識して投票した人がいたか。政治の力を世の中の人、社会が気づかない限り、政治は動かないのではないか。

・インターネットはもはやライフライン。選挙のときだけそれが閉じられるのはおかしい。

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