2013年2月 のアーカイブ

『64』(ロクヨン)

カテゴリー: Books

2013/02/16  09:13


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書名:『64』(ロクヨン)
著者:横山秀夫
出版社:文芸春秋(2012年10月25日第1刷発行、初出は別冊文藝春秋)

史上最高齢75歳芥川賞受賞作家が語る

カテゴリー: 会見メモ, 東京日誌Ⅱ

2013/02/15  23:58


黒田さん

聞く方も高齢者が目立った会見だった

 

テーマ:著者と語る『abさんご』
会見者:黒田夏子(第148回芥川賞受賞)
日本記者クラブ@2013年2月15日

会見が終わって会見場から外に出たら、受付の上に「史上最高齢75歳 第148回芥川賞受賞作 abさんご 黒田夏子」と書かれた宣伝カード(文藝春秋)が置かれていた。生死の交錯する、「昭和」の家庭で育ったひとり児のたどる運命とは?とも書かれていた。作品を読まないまま、とにかく「史上最高齢芥川賞受賞作家」の顔を見るというミーハー的興味で出掛けた。

申し訳ないが、最初から作品よりも、人物に関心があった。本人の話はそれこそ3分ほどで終わり、「テーマとか主張のある作品ではないので何でも質問を」で会見は始まった。結局、最後まで分からなかった。人に分かってもらおうと書かれた文章ではなく、自分の書きたい書き方(横書きで、ひらがなを多用し)にこだわった文章だ。

書くべきテーマに沿った文章を、誰が読んでも分かるように書くように訓練されてきたジャーナリストの書く文章とは最初から違う。そうした文章こそ、書かれるべき文章だと職業的に考えているジャーナリストにとっては、何とも合点のゆかない作品ではないか。

実際、会見ではそうした点に関する意見表明や質問も多く出たが、それに対する黒田氏の回答は「作品を作ること自体が目的。その作品を通じて何かを伝えたいと思っているわけではない。書かれている内容は材料でしかない。だから、あらすじもない。作品そのものを受け止めていただきたい」と答えた。

●(横書きは読みづらいな、縦書きでなく横書きにすることの効用とは何か)日本語はどんなものでも縦書きが普通。「文学作品は縦書きである」ことになっているが、それは単なる習わし。それを一度白紙に戻したいと思った。30年ほど前から横書き。それが自分の資質に合っていた。「横書きがいいですよ」ではなくて、「横書きがあってもいいですよ」。ただそれだけですよ。

●(なぜかながきにこだわるのか、読者に負担を強いるが)何かを壊したいわけではありません。漢字を否定しているわけでもありません。作品の言葉の使い方が実用書とは違う。

●(75歳という年齢について)75歳で受賞したことがきっかけで作品を読んでいただけるのはいい。たまたま75歳になってしまっていた。

●なるべく語源にこだわりたいという意識はずっとあった。小3で終戦、小5で旧仮名遣いから新仮名遣いに、中学では当用漢字や常用漢字が定められた。言葉が上から押し付けられた。外から変えられることをずっと眺めてきたので、自分の言語感覚で考えてもいいのだと受け止めていた。

●食べるためには別の仕事を持っていた。いろんな仕事をしたが、特に校正者として長く働いた。

つるし飾り

カテゴリー: 東京日誌Ⅱ

2013/02/13  22:56


おびただしい吊し雛(京王プラザホテル)

とにかくその数の多さにびっくりした(京王プラザホテル)

 

自分でも珍しく新宿の京王ホテルのロビーに足を踏み入れたら、こんな光景に出くわした。3月のひな祭りに合わせて、その飾り付けを展示するイベントだという。題して「ホテルで楽しむひなまつり~百種の犬筥 幾千のつるし飾り~」。

犬筥(いぬばこ=犬が伏した置物)は気づかなかったが、つるし飾りにはその数にまずびっくりした。中央道の恵那峡SAで一度、縁起物のお守り「さるぼぼ」(猿の赤ちゃん=災いが去る=猿)を見たことがあったが、そんな昔ながらの形に加えて、実にさまざまなつるし飾りがぶら下がっていた。作家による本絹古布を使用した4700体が飾られているという。同ホテルではこの季節の恒例になっているらしい。

つるし飾りは伝統工芸の一種。「雛祭りの際に、糸の先に布製の人形などを吊して雛人形とともに飾る」(ウィキペディア)。また「福岡県柳川市のさげもん、静岡県東伊豆町稲取地区の雛のつるし飾り、山形県酒田市の傘福を称して日本3大手芸」とか。知らないことのほうが多い。それにしても目が楽しい。

 

北朝鮮、3回目の地下核実験

カテゴリー: 政治/外交/国際/軍事

2013/02/12  22:53


北朝鮮の発表(NHKニュース)

北朝鮮の発表(NHKニュース)

「花山椒」

カテゴリー: 食/食堂/レストラン

2013/02/10  20:20


金粉入りシャンパンです

金粉入りシャンパンです

 

蒸し稲荷ずし

蒸し稲荷ずし

 

味の想像つかないフルーツ

味の想像つかないフルーツ「チェリモヤ」(チリ産)

 

慶事があってパークホテル東京(東新橋)の日本料理「花山椒」で食事した。ホテルは汐留メディアタワーの25-34階部分。階下は共同通信社の本社になっている。同業他社の編集局は気になるもので、現役時代に2度ほど訪問した。

シェール革命で変わる世界

カテゴリー: 講演会/シンポ/セミナー/勉強会, 資源/エネルギー/環境

2013/02/07  20:06


国際ブリーフィング風景

セミナー会場風景

 

シェールガス・シェールオイルと呼ぶ新型資源が世界に「革命」を起こしている。少し前までは石油・天然ガス資源は有限で、いずれ枯渇するというのが世界の常識だった。それが在来型ではない、非在来型の資源が登場し、「有限」の危機が大きく遠のいた。それを可能にしたのはテクノロジーだ。

シェール革命の起こっているのは米国。既に本格的な生産が始まった。革命がエネルギー分野にかかわらず、安全保障の分野にも大きな影響を及ぼし始めている。日本にとっての最大の関心は米国からのLNG輸出動向だ。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がこの問題に焦点を当てた国際セミナーを開催したので参加した(2013年2月7日)。

ガス鉱床図(ウィキペディア)

ガス鉱床図(ウィキペディア)

 

●シェールガスは製造業のプロセスで生産される。コストが問題だ。石油は資源の規模がどの程度かという視点で見ていたが、シェールガスの場合はそれとは違ってテクノロジーで考えなければならない。

●シェールガスが革命なのは連邦政府の規制対象ではなく、地元州政府の認可を得られれば良い点だ。

●米エネルギー省(DOE)は向こう2-6カ月後には数件の日本向け輸出ライセンスを認可する見通しだ。

●1年前まではエネルギー不足や需要増大、資源不足が米政策の前提だったが、シェール革命の結果、様相が一変、日々変わっている。

●Shale Play(シェールプレイ、実際にシェールガスの採掘可能地域)は当初5州に集中していたが、その後28州に拡大し、今も増大している。それに伴い、経済効果に政治的影響力も増大している。州当局は認可することで収入が増えるほか、雇用も創出できる。

●米国のガス輸出は自由貿易協定(FTA)締結国を優先することが定められている。しかし、増産余力が高いこともあって非FTA締結国への輸出を認めることの是非が議論されている。外交政策や軍事政策とも密接に絡む。近く上院公聴会で議論。

●シェールガス生産は米国中心。他地域は時間がかかる。増産体制に入るのは10-20年先。

●中東原油の輸出先は2035年までには90%がアジア向けとなる。ホルムズ海峡から西に向かっていた原油が東に向かう。北米が純輸出国として台頭する。

●米国とサウジアラビアとの関係は「天国で作られた結婚」と呼ばれる。いわば封建領主と農民のような関係だった。しかし、米のシェールオイルの登場でゲームは抜本的に変わるのか。恐らく米国は2020年まではサウジからの石油輸入を続けるだろう。

●中東原油に対する米国の依存度が低下することにより、地政学的な影響は現れる。

●米国の製造業はシェールガスやシェールオイルによる低燃料・原料費が強み。中東は豊富な埋蔵量を背景とした廉価な燃料費が強み。中国は燃料費は必ずしも廉価ではないものの、相対的に廉価な人件費が強み。欧州は現時点では燃料費も人件費も廉価ではないところが弱みだが、域内でシェールガスが生産されれば状況は変わるかもしれない。ただ環境問題は付いて回る。

●日本はシェールガスもシェールオイルも期待できず、人件費も廉価ではない。対応を真剣に考える必要がある。

原田泰治『ふるさと心の風景』展

カテゴリー: 絵画/彫刻/音楽

  18:43


「ふるさと」の言葉に誘われて・・・

「ふるさと」の言葉に誘われて・・・

 

懐かしい風景が広がる

画家として初めて書いた「うしろのしょうめんだーれ」

 

日本のビジネスセンター・大手町は懐かしい街だ。駆け出し記者の頃はこの周辺の空気を吸っていた。今では高層ビルが建ち並び、景観は一変した。それでも昔の面影を残しているところも少しはある。その1つが大手町2丁目の逓信総合博物館(ていぱーく)。情報通信関係の総合博物館らしいが、一度も入ったことはなかった。

このところ、神田からの帰りにこの前を通る。だから原田泰治『ふるさと心の風景』展を開催しているのを知っていた。たまたま今日は時間があったのと入場料大人110円に惹かれて、しばし迷いながらも入館した。展示作品はふるさと切手「ふるさと心の風景」シリーズ35点。これがなかなか良いのだ。どこかで目にしたことのあるふるさとの原風景が広がる。

原田泰治氏は1940年(昭和15)、長野県諏訪市生まれ。1歳のとき、小児麻痺にかかり両足が不自由になる。1944年に開拓農民として一家で長野県下伊那郡伊賀良村(現・飯田市北方)に移住し、中学校までの10年間を過ごす.デザインの仕事の合間に、少年時代を過ごした伊賀良村の思い出をテーマに絵を描き始めた。

ビデオを見ていて彼の素朴で、天真爛漫な性格に心を動かされた。彼の話を直に聞きたいと思った。特別講演会は既に終わっていた。ネットで講演の模様が報告されていた。スライドを使った内容。一度聞きたい。

サヘル

カテゴリー: 会見メモ, 政治/外交/国際/軍事

2013/02/06  20:25


ずいぶん昔に英国で買った中学生用世界地図

ずいぶん昔に英国で買った中学生用世界地図

 

オレンジの帯がサヘル地域(ウィキペディア)

オレンジの帯がサヘル地域(ウィキペディア)

 

『のぼうの城』

カテゴリー: 映画/テレビ/舞台

2013/02/02  23:22


角川シネマ新宿で見た

角川シネマ新宿で見た

 

作品:『のぼうの城』
監督:犬童一心/樋口真嗣
脚本:和田竜(小学館『のぼうの城』)
上映館:角川シネマ新宿

豊臣軍にケンカを売った、「でくのぼう」がいた。強くはないが、人気だけはある男が立ち上がるとき、仲間たちの想いがあふれ出す。

天下統一目前の関白・豊臣秀吉は唯一残された敵である北条勢を攻めようとしていた。周囲を湖で囲まれた”浮き城”の異名を持つ「忍城」(おしじょう)もその一つ。その城を守るのは、その不思議な人柄から農民たちから「のぼう様」と呼ばれる成田長親(なりた・ながちか)。

関白軍を指揮する石田三成は忍城に降伏を迫る。しかし、多勢に無勢と三成側のなめきった態度に、長親は思いもよらない言葉を発する。「戦いまする」と。そして、誰の目にも絶対不利な、500騎対2万の戦いの火ぶたが切って落とされる。

『アルゴ』

カテゴリー: 映画/テレビ/舞台

2013/02/01  23:23


ギンレイホール(神楽坂)

ギンレイホール(神楽坂)

 

作品:『アルゴ』(2012年 アメリカ映画)
監督:ベン・アフレック
脚本:クリス・テリオ
主演:ベン・アフレック、アラン・アーキン、ジョン・グッドマン
上映館:飯田橋ギンレイホール

久しぶりの映画館鑑賞、久しぶりの飯田橋ギンレイホールだった。実は見たかったのは2本立てのうち『ルート・アイリッシュ』(英仏ベルギー伊スペイン合作、イラク戦争の実態を描いたサスペンスドラマ)だったが、見終わってみると、『アルゴ』に軍配を上げた。

『アルゴ』(ARGO)は米ハリウッドが製作するSF超大作の作品名。同作品をハリウッドが製作すると大々的に発表しておきながら、実はそれは世界を欺くための芝居。実際は映画をイランで製作すると見せかけて、ホメイニ革命下で米大使館から脱出してカナダ大使公邸に逃れた大使館員6人を脱出させるための仕掛けだった。

イランでは1979年にイラン革命が勃発し、米大使館は怒ったイラン人の群衆に占拠され、大使館員52人が人質になった。しかし、そのどさくさに6人の大使館員はカナダ大使の邸宅に転がり込んでいた。イラン側がその事実を確認するまでは時間との闘いだった。

米CIA(中央情報局)の人質救出作戦のプロであるトニーの仕掛けたのがアルゴ。イラン政府に発覚したら即刻処刑。協力したカナダ大使一家の命も保証されない中での緊迫した情勢が続く。そして最後は隠れた人質の存在をつかんだイラン治安当局との手に汗握る駆け引き。そして遂にテヘラン空港からスイス航空に搭乗し、自由の身に。このクライマックスシーンは体が緊張する。

米政府がこの人質作戦を公表したのは18年後。それまで最高機密として封印してきた。その封印が解かれ、衝撃の実話が明かされた。実話に基づいた作品がアルゴだ。

アフレックは元々が俳優だが、無名時代に共同執筆した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でアカデミー脚本賞を受賞するなどクリエーターとしての才能も発揮していた。2007年に『ゴーン・ベイビー・ゴーン』を初監督、2作目の『ザ・タウン』もヒットさせるなど評価が高い。

アルゴはゴールデン・グローブ賞のドラマ部門作品賞や監督賞、全米製作者組合(PGA)賞、映画俳優組合(SAG)の映画部門最高賞「アンサンブル演技賞」を既に獲得。2月24日(日本時間25日朝)発表のアカデミー賞にも7部門でノミネートされている。

アフレックはインタビューで「実は僕は大学時代に中近東学を専攻していた。中東の文化や歴史にすごく興味を持っていて、今回の企画にも飛びついたってわけさ。映画で描かれているイランの人質事件は30年も前なのに、いまだにイランとアメリカは同じような緊迫状態にある。結局のところ、アメリカは中東各国における主導権について口を出すけれど、本当に自分たちのやっていることが分かっているのか?ちゃんと情勢を理解しているのか?そんな疑問を、説教臭くなることなく提示している脚本が気に入った」(ぴあ映画生活)と語っている。

金曜夜のギンレイホールは午後6時10分上映の『ルート・アイリッシュ』から空席が乏しく、結局、最前列で鑑賞。8時15分から始まった『アルゴ』は通路にシートを引いて座って鑑賞する立ち見ならぬ「座り見」客がずらっと並んだ。女性客も多く、こんな作品(イラクやイランを舞台にした戦争映画)に、こんなに客が詰め掛けるなんてなどと最初はいぶかしく思った。

しかし、作品は話題作であり、内容もしっかりしていることからして、彼らは目の肥えた映画ファンであることを理解した。むしろ、自分の無知を改めて思い知った次第だ。最近、オンデマンドのPC鑑賞の便利さも知ったが、やはり劇場で映画を見ることの意味も知った思いだ。