風通しの悪さが生んだ「統一球問題」

会見する熊崎コミッショナー

会見する熊崎コミッショナー

 

テーマ:プロ野球コミッショナー就任会見
会見者:熊崎勝彦プロ野球コミッショナー
2014年2月27日@日本記者クラブ

元東京地検特捜部長。1972年に検事になって、2004年に退官するまで32年間にわたって事件一途だった。検察の現場が長かった。根来泰周元コミッショナー(13年11月4日死去)に乞われて05年から顧問に就任していたが、根来氏も元東京高検検事長だった。

どうやらコミッショナー制度は八百長試合(米メジャーリーグで発生したブラックソックス事件=1919年)の反省の下で連合国軍総司令部(GHQ)に指導により日本では1949年に導入された制度で、コミッショナーはプロ野球組織を代表しかつ管理統括する人物。検事は裁定者として打って付けだ。

熊崎氏は9年間、顧問を務めたこともあり、統一球問題で引責辞任した加藤良三コミッショナーの後任として適任と推された。同氏には神戸時代に講演会の講師をお願いしたことがある。検事だったにもかかわらず、ざっくばらんで明るい性格な人だった。

法に則って、鬼の特捜を率いた人物とは思えないほどの開けっぴろげな性格は異色だ。事務局には毎日顔を出し、12球団全てのキャンプ地を回って、現場との意思疎通に努めている姿は好感が持てた。「プロ野球の組織は実に複雑で、分かりにくい。縦割り的なところもある。意思疎通を図ることが重要だ」と指摘した。

昨年公表のないまま飛びやすく仕様変更して問題となった公式戦使用の統一球について、「今年も昨年と変わらないボールを使用する」と強調。反発係数を変えたことは「問題ない」としたが、日本野球機構(NPB)内の限られた人間で決定し、選手やファンに告知しなかったことに基本的な誤りがあったとし、事後対応の不備を指摘した。

”事件”は組織の風通しが良くないことが引き起こした。下は言うべきことを上にきちんと言え、上もそれをしっかり受け止める。そうした風通しの良い組織が必要。野球はファンがあってのもの。ファンを無視した運営は論外だ。

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