試写会『ワレサ 連帯の男』

懐かしさがこみ上げてくる

懐かしさがこみ上げてくる

 

監督:アンジェイ・ワイダ
出演:ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ
アグニェシュカ・グロホフスカ
2013年ポーランド映画
4月5日(土)よりロードショー(岩波ホール)

 

「ワレサ」「自主管理労組・連帯」と聞いて血が騒いだ。1970年代から80年代にかけて、社会主義国・ポーランドで吹き荒れた民主化運動の嵐の中で屹立した人物であるレフ・ワレサはほぼ同時代的な全共闘世代にとって同士に等しい存在だからだ。

1960年代末に日本でも吹き荒れた安保闘争において、反権威主義の熱い洗礼を受けた全共闘世代にとって、国は違っても、ポーランドで繰り広げられた社会主義帝国・ソ連邦に対する激しい抗議行動は他人事ではなかった。

ハラハラドキドキしながらも、熱い連帯の気持ちで見詰めた。自由のために闘うポーランド人民、その指導者であるワレサの姿は共感の対象以外の何者でもなかった。

そんな自由の闘士・ワレサがワイダ監督の下で帰ってきた。一介の電気工から、多くの労働者を率いて、独立自主管理労組「連帯」を創設。初代委員長として活動し、最後には大統領にまで上り詰めた。

「灰とダイヤモンド」「地下水道」「大理石の男」「鉄の男」-ワイダ監督はポーランドの政治的なテーマをとり続けてきた。「連帯」の支持で89年には国会議員にもなった。

そんなワイダ監督が「ワレサ」を描いた。英雄としてではなく、人間的な弱みも持つ家族思いの人物として。要所要所に、80年代にポーランドで流行ったロック調のプロテスト・ソングが効果的に挿入されている。「僕は自由を愛し理解する、自由は捨てられない」「流れに逆らうな、個人の存在なんて無だ、そう言われても進め、流れに逆らい、進め」「社会をひっくり返すんだ、向こう見ずな決断だけど、体制を覆せ」

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