「アベノミクスを問う」

ピザランチ(スワンカフェ&ベーカリー赤坂店)

ピザランチ(スワンカフェ&ベーカリー赤坂店)

 

笹川平和財団主催の「アベノミクスを問う:日米経済専門家の視点」と題した公開パネル・ディスカッションに出席した。午後2時からだったが、少し早めに行って日本財団ビル1F(港区赤坂1)にある「スワンカフェ&ベーカリー」でランチを食べた。

スワンは「障がいのある人もない人も、共に働き、共に生きていく社会の実現」を目指して、宅急便を世に送り出したヤマト運輸の元会長、故・小倉昌男氏がヤマト福祉財団とヤマトホールディングスと共に設立したグループ傘下の株式会社だ。

(以下、2015年1月5日追記)

第3次安倍内閣が昨年12月24日スタートした。首相は記者会見で、「強い経済があってはじめて社会保障、教育の財源を手に入れ、強い外交・安保を展開できる」と経済再生を最優先課題と位置づけ、成長戦略の実行を一層力強く加速する考えを強調した。

 

3 本の矢(首相官邸HP)

3 本の矢(首相官邸HP)

 

アベノミクスの第1の矢「大胆な金融政策」、第2の矢「機動的な財政政策」は既に放たれ、現在緊急の政策発動を求められているのは、本丸の第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」だ。

過日会ったブリュッセル駐在エコノミスト氏によると、欧州ではアベノミクスの第1、第2は「Arrow」と認めているものの、第3については「Needle」(針)と呼んでいるそうだ。いかに市場の注目を集められるキーワードを作ることができるかに血道を上げている連中だが、、鋭く刺さってくる。さすがだ。

ただ、第3の矢はまだ実際には放たれていないのだから、「針」と言われても仕方がないかもしれない。放つべき矢の設計図はできても、その発動にモタモタしているからだ。与党および政権内部のコンセンサス作りに時間が掛かっている。

 

成長の鍵を握る重要テーマ(首相官邸HP)

成長の鍵を握る重要テーマ(首相官邸HP)

 

成長戦略が狙うのは、「規制緩和等により、民間企業や個人が真の実力を発揮できる社会」の実現だが、「岩盤規制」という言葉があるように、規制緩和は既存権益を享受してきた既得権層にとって死活問題。とりわけ農協と医師会の抵抗は根強い。

「日米経済フォーラム」は日米経済問題について日米両国の経済専門家が議論する場。2014年6月に米ワシントンで第1回会合を開き、今回東京で2回目を行った。非公開の討議を行った後、公開パネルディスカッションを開催した。

パート1「アベノミクスを問う」のモデレーターを務めたのは米ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長。日本の経済成長にとっては「労働力の供給が拡大し続けることが最も重要だ」との考えを示した。

同所長は、「女性の労働参加など国内で拡大する余地がまだあるが、将来的には移民や労働政策が必要になるかもしれない。労働の供給を拡大しなければならない」と強調した。

もう1人の米側登壇者は国際金融協会のチーフエコノミスト、チャールズ・コリンズ氏。同氏も、「移民に米国を開放したことが米国経済のダイナミズムの源泉だった。移民はダイナミックな成功を求めているので、日本が移民にもっと開放的な政策を行えば、日本経済に活力を与えることになる。移民というのは安い労働力ということではなく、日本経済にとっての活力の源泉と受け止めて欲しい」と述べた。

考えてみれば、かなり昔のことにはなるものの、日本民族も大陸から日本列島に渡ってきた移民。米国民も欧州大陸から来た移民が国を作り、今もなお移民の流入を続けることで経済発展を続けているのは事実。短期的に見れば、移民受け入れは難しいが、選択肢から外すのは、成長を放棄するのと同然かもしれない。

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