禁食

ロッカーのドアに張られた「禁食」のラベル

ロッカーのドアに張られた「禁食」のステッカー

 

16日(金)午前10時から「ストーマ閉鎖手術」(2期手術)を受けた。後で聞くと、手術時間は1時間半超。それでも病室に戻ってきたのは、午後1時半だったという。手術は前後の準備時間が相当かかる。手順が重要だ。もちろん、本人は手術台の上だからそんなことは何も分からない。

 

1期手術説明図

1期手術説明図

昨年9月25日に受けたのは1期手術。このときに受けた手術を図示したのが上。異型細胞が出現した大腸を全摘し、肛門を閉じ、別途人工肛門(ストーマ)を造設。ストーマは小腸で造られる。小腸に大腸の役割を担わせるわけだ。

小腸は非常に賢く、大腸の機能をすぐに学習する。ストーマを胸を切開して引き出し、ストーマの上に付けた袋に排泄するシステムだ。手術は5時間以上かかった。

病名:潰瘍性大腸炎
症状:下行結腸の異型粘膜
手術内容:大腸全摘、回腸嚢肛門管吻合、回腸人工肛門造設

とりわけ、一番関心のあるのは何と言っても回復の度合いだ。1期は30cmほど縦に開腹した上、大腸を全摘した。今回の開腹幅は6cmと約5分の1。摘出する物はなく、ストーマを体内に埋め戻すだけ。

簡単と言えば簡単だが、手術は何せ生身の体にメスを入れる。それが体にとっていいはずがない。

1期手術の時は術後6日目に食事を再開したが、術後3日間はとにかく苦しくて、苦しくてどうにもならなかった。どうにもならなかったはずなのに、あれから4カ月経った2015年1月時点でどうにかなっているから人間というのは不思議な生き物だ。

強い生き物だ。きちんと今も生きている。死ぬほど苦しかったのに、その時の苦しみをすっかり忘れ、また死ぬほど辛かった前回と同じような手術を受けているから不思議だ。女性が第1子を産んだ時の苦しみから、「もう2人目は要らない」と言いながら、つい第2子、第3子を産むのと同じことかもしれない。

1期手術は9月25日(木)だった。ノートに乱暴に書き付けたメモをめくった。本当は思い出したくないのだが、今回の入院中に、前回の手術を振り返ってみようと考えて、ノートやメモ類を持参した。

それによると、術後1日目(26日)は記述ゼロ。流石に書ける状態ではなかったということだ。遠い記憶の彼方で思い出せない。自分なりに必死に生きることと戦っていたのだと思う。

術後2日目の9月27日(土)に、「15:24 術後初めて足で歩く(ベッド→ソファ」。Y、M両医師来ベッド。『順調』」とだけ記述あり。

2日目、3日目あたりに苦しんでいたのは①体に毛布や布団などが絡み合って暑いこと②張らないようにお腹を動かさなくてはならないが、動かすと痛いのでいつまでもお腹が張っていること③麻酔薬が抜けるのに時間がかかり、むかつき、のどの痛み、しゃっくりの連続が襲われること-の3つ。ノートは「難業3重苦」と呼んでいる。

「もう死ぬ苦しみとの戦い。時間が全く経たない。つまり、苦しみが何時間も続く。もう生きた心地がない」と悲鳴を上げている。前回は手術時間が長く、使用した麻酔量も多い。手術が終わって麻酔を止めても、今度はそれが抜けるのに時間がかかる。

そこで打った手が逆張り療法。「連続的に押し寄せてくるしゃっくりを何度も我慢した。我慢しながら、むせるような痰や胃液の逆流を文字通り味わっているうちにむかつきなどは少しずつ収まっていった」と書いている。

 

術後3日目でまたこの風景を眺めた(新宿副都心)

術後3日目でまたこの風景を眺めた(新宿副都心)

 

今回はオペ時間が短かったので、使用した麻酔量も少なく、術後、麻酔によると思われる吐き気などに襲われることは今のところない。これが今回、術後の苦しみが前回に比べ、大幅少ないことに表れていると考えられる。

もちろん、創傷は今回もある。ストーマを閉鎖した部分は傷跡になっており、その部位が痛む。切開した以上、痛みは避けられない。食事はまだ再開されていない。手術前日から数えれば、禁食は連続6日、術後だと4日続いている。

前回の禁食は連続8日、術後6日間だった。手術の程度が5倍ほどの違いがあるので、今回はもっと早く食事が再開されると期待していたが、腸詰まりの懸念もあって、医師団(2人)は慎重だ。こんなことを書いているだけで、お腹が痛み出すのではないかと心配だ。

 

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