「排泄」

非ステロイド系皮膚保護剤「アデノール」軟こう(製造販売:日本新薬)

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「排泄」(はいせつ)と聞くと、普通の人はちょっと、はばかる言葉を耳にしたような反応をするのではないか。あまりにもプライベートでデリケートな問題だからだ。排泄は「不要な物質を体外に出すこと」を意味し、婉曲的に「排便」を意味していることが多い。

同じプライベートでデリケートなことにかけては、「セックス」と同じだが、今やセックスは完全に市民権を得た。女性自身が自分のセックスを屈託無く語る時代が到来しているのも、少し前なら考えられなかった。

セックスはとても、秘めやかで、またかつデリケートで、極めて個人的な営為であったはずだが、今やネット上にはセックス情報が氾濫し、自分のセックスを「売る」ことについても何のためらいもない人種が現れている時代だ。

「ジェンダー(性)」についてもゲイの人たちが正々堂々と名乗りを上げ、それを人間の権利として認める、少なくても積極的に反対しない風潮が定着。社会もそれを認めているかのようだ。つまり、世界は「何でもあり」の時代に突入したのだ。

ゲイカップルも代理母出産によって子どもを持てる。ゲイカップルが増えても、インドなど代理出産市場がある以上、人口問題にはならない。日本でも2004年11月に戸籍施行規則が改正され、婚外子(非嫡出子)も嫡出子と同様の扱いを受けられるようになった。

父親が誰であるかも意味を失いつつある。親よりも子どもが重要だという考え方だ。親があって初めて子どもが生まれるが、とりわけ先進国でこれだけ高齢化が進むと、どんな形でさえ、まず子どもの数を増やすことが優先される。

子どもを産まない権利も女性にはある。実際に産まない女性が増えている。40代に子どもを産もうとしても、卵子が老化し、出産の危険が急速高まるのは医学の常識だ。

 

尿量チェック表

排泄する尿量と便の回数を管理するチェック表

 

「セックス」に比べて、「排泄」「排便」は昔も今も日陰的な存在だ。人間に最も基本的で重要な機能の1つは「排泄」のはずだが、「排泄」を正面から捉えようという姿勢はまだまだ一般的ではないのが現実だ。

日常会話で「排泄」「排便」が話題になるのは赤ちゃんのことぐらい。若い母親も父親も、我が子の便のことについては関心が高い。便の状態が赤ちゃんの健康状態を反映しているからだ。最愛の我が子については「排泄」自体も愛すべき対象になる。

しかし、人間が育ち、大人に成長し、成人として各種の社会活動に参加している間は、体の各種機能も通常、正常に動き続ける。人はそれが当たり前と思い、便秘や何らかの腸疾患を煩わない限り、「排泄」に関心が向かうことはまずない。

次に人が「排泄」に目が向くのは高齢者になってから。それまで60年も70年も1日たりとも活動を休止したことのなかった大腸や小腸などに何らかの異常が出現し、強制的に注目せざるを得なくなった時だ。

小腸で食物の栄養素が吸収され、大腸では老廃物に含まれた水分が搾り取られ、最後に残ったカス状態の老廃物が肛門から排泄される。それが便だ。

自分が「潰瘍性大腸炎」を発症したのは約20年前。それをこれまで何とか付き合ってきて、最終的に内科的治療を断念し、外科的手術で、病源の存在そのものを”排泄”した。良かったのか、悪かったのは分からないが、もう手術は終わった。

そして、66歳という年齢になった今、「排泄」という行為について、真正面から付き合わなければならない現実と直面している。元気な時はこんなことを考えてもみなかった。自分が問題を抱え込んで初めて、問題の深刻さ、重大さに気付く。改めて、自らの想像力の乏しさを思い知らされた。

自分が本当に排便上の問題に直面するのはこれから。禁食が続いており、今排泄しているのは点滴で注入されている栄養剤(1日2L)。ほかにお茶や水などの追加飲用物だ。つまり、普通の食事は摂れていない。絶食中だ。

術後5日になったのになぜ食事が再開されないのか、についてずっと考えている。ネット検索をしていた見つけたのが「やすらぎの里断食道場」(静岡県伊東市)。「やすらぎ通信」の中に、「絶食すれば排泄機能が高まる」と書かれていた。

「人間の体には生体の機能を一定に維持しようとする恒常性維持機能がある。絶食中は栄養分が入ってこないので、それでも体はバランスを取るために老廃物だけでも出して、何とか体をいい状態に保とうとする。その結果、排泄機能が高まり、色々な老廃物が排泄されるため、体が浄化させる」

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