「さらに大変な時代」

輝かしい朝日(2月1日日の出、東京新宿区)

輝かしい朝日(2月1日朝、東京新宿区)

 

朝日を浴びる新宿副都心(2月1日朝)

朝日を浴びる新宿副都心(2月1日朝)

 

2月を迎えた。基本的に好天が続き、朝起きると、病棟から日の出を眺めるのが日課になっている。入院して既に2週間経ったので、もう珍しくもないが、月が改まったので、感慨を持って眺めた。

 

後藤さん「殺害」動画(NHKテレビ)

後藤さん「殺害」動画(NHKテレビから)

 

日本の朝は輝かしかったが、テレビをつけると、午前7時のNHKニュースが後藤健二さん殺害動画がインターネット上に投稿されたと報じていた。殺害されたのは湯川遙菜さんに続いて2人目。

過激派組織「イスラム国」が動画に添えたメッセージは以下の通り(時事通信)。

「お前たち愚かな有志連合は、われわれがアラーのご加護により、権威と力のあるイスラム教カリフ国家であり、お前たちの血を欲しがっている軍であることを理解できていない。

「安倍、勝ち目のない戦争に参加するというお前の無謀な決断のために、このナイフは後藤を殺すだけでなく、お前の国民がどこにいようとも虐殺をもたらすだろう。日本の悪夢を今始めよう」

注意すべきは最後の「このナイフは後藤を殺すだけでなく、お前の国民がどこにいようとも虐殺をもたらすだろう。日本の悪夢を今始めよう」というくだりだ。

これまでも海外でテロの標的になったケースはペルー大使館事件、アルジェリア人質事件など幾つもあったが、結果的に死亡することはあっても、「殺害」そのものが目的となることはなかった。

しかし、今回は日本が中東への人道支援を表明しただけで、「イスラム国」に敵対する「有志連合」の一員と見なされ、殺害対象になった。そして問答無用的に殺害された。欧米人は既に殺害されている。テロのリスクという点では日本はやっと欧米並みになったということだ。

今回殺害されたのは後藤健二さんだったが、このメッセージでは日本国民を虐殺することをうたっている。とにわけ、海外在住の日本人は標的になる可能性が高い。

アベノミクス始動以来、世界における日本のプレゼンスは極めて高まっており、グローバル企業をはじめ、日本企業の海外進出は増え続けている。日本経済の海外進出は日本が生きていくために不可欠であり、不確実な世界に出れば出るほど、リスクが高まるのは当然だ。

テロに襲われるリスクもその一つ。もちろん、襲われないことにこしたことはないし、文明国ならば、そういうリスクは低い。開発途上国でも政府が主体性を確保している限り、そんなに心配する必要はない。

厄介なのは「イスラム国」。「寛容を尊び、多様性を認める」ことがキリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒、仏教徒、無宗教主義者の共存を許してきたが、それを否定したら世界は成り立たない。

彼らは狂気の宗徒だ。しかも、その宗徒が一定の力を持ち、世界を震撼させている。そんな時代にはわれわれは住んでいる。とてもよそごとではない。「怖い」だけでは済まない。既に「大変な時代」が「さらに大変な時代」になっている。

こんな時代に生きるということはどういうことなのだろうか。既に生きている以上、生きることを勝手にやめるわけにもいかない。

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