オストメイト

みずほ温泉(埼玉県所沢市)

みずほ温泉(埼玉県所沢市永井)

 

自宅から車で30分程度のドライブで行き着く、みずほ温泉「埼玉スポーツセンター天然温泉」(旧むさし野温泉 彩ゆ記)に半年ぶりに行った。芯から体が温まって疲れが溶けていく。

昨年9月に、潰瘍性大腸炎で大腸を全摘。今年1月に人工肛門(ストーマ)を閉鎖する手術を受けるまでの4カ月間、ストーマを付けていたので、施設利用を「自主規制」していた。もちろん、病人だったので、スポーツクラブも休会していた。

入院・手術した東京山手メディカルセンター(東京都新宿区百人町)でもらった「ストーマについて」と題した資料によると、ストーマとはギリシャ語で「口」を意味し、お腹にできた尿や便の排泄口のことをいう。日本では人工肛門といい、ストーマを持つ人を「オストメイト」と呼ぶ。人工膀胱を付けた人も含まれる。

ストーマの特徴は、①自分の腸で作られている②自分の意思で尿意・便意をコントロールできない(便意がない)③触れても感じない、痛みを感じない-。

自然肛門の場合、自分の意思で便を我慢したり、排便することができるが、人工肛門は自分の意思で便をコントロールできないので、意思とは無関係に便が出てくる。そのため便を受ける装具が必要となる。

尿や便をためる袋は完全に密閉されており、衛生面で問題はないが、2014年8月13日付読売新聞夕刊によると、入浴施設で利用を断られるケースが多発しているという。「衛生上問題はない」と施設側に理解を求めても、「他の客からクレームがある。オストメイトの利用は断る」との施設が多いようだ。

装具を付けた姿は裸になった場合、やはり非常に目立つ。いつもタオルで隠すわけにもいかない。個人的にはそうまでして大きなお風呂に行きたいとは思わなかった。この半年ほど行かなかったが、ストーマを閉鎖し、元に戻ったので、行く気になった。

自己規制をする必要はなかったが、他の入浴客の「理解」を強要するわけにもいかない。自分の場合は、オストメイトだった期間は4カ月と短かったから我慢できたが、恒久的に人工肛門を強いられるオストメイトも多い。そうした人たちも温泉に入りたいはずだ。とは言うものの、ストーマを付けた姿に違和感を持つ客がいても不思議ではない。

厚労省によると、膀胱や直腸機能に関する身体障害者手帳の所有者は2012年度末で19万3300人。大半がオストメイトで、高齢化に伴って数は今後も増える見通し。大腸がん患者が急増しており、大腸全摘手術は一般的に行われ、一部は肛門も摘出される。

みずほ温泉の玄関には「子ども、大人を問わず、オムツを着用している方の入場はお断りしています」との通告文が張り出されている。子どもは分かるが、大人もオムツ着用お断りだ。天然温泉に行くのもハードルが段々高くなってきた。行きたくてもいけない歳になるのもそんなに遠い将来ではなさそうだ。

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