「ビジネスが再エネ100%を先導する」

 

参加者の集合写真

 

自然エネルギー財団(トーマス・コーベリエル理事長)は8日、東京・千代田区のイイノホールで国際シンポジウム「REvision2017」を開催した。

セッション1のモデレーターを務めた大野輝之自然エネルギー財団常務理事によると、2009年のCOP15のとき、世界で存在していた太陽光発電の量は23GW(1GW=100万KW、原発23基分)があったが、6年後にパリ協定が生まれたときには10倍の230GWになっていた。風力発電も3倍近くなった。しかも量が増えるとともに値段が非常に安くなった。自然エネルギーが温室効果削減ツールとして使えるようになった。削減対策のハードルを低くした。

また、第2の論点はパリ協定が自然エネルギーを加速していることだ。価格が安くなり、競争力が高まり、政府のサポートとか政府の促進策なくてもビジネスの力で十分拡大できる時代に入ったと思われる。その端的な表れがセッション1のテーマである「ビジネスが自然エネルギー100%を先導する」取り組みが広がっていることではないか、と問題提起した。

アップル社の環境イニシアティブ・サプライヤークリーンエネルギープログラムのヘッドであるケイティ・ヒル氏はティム・クックCEOと8人のsenior vice presidentおよび7人のvice presidentのうち、Lisa Jackson(環境、グローバルな渉外担当vice president)がボス。

世界は自分たちを変えるだけでは変えられない。水面に一滴落ちただけでも他社に波及することが重要だ。ティム・クックCEOは「話している場合ではない。アクションを起こす必要がある」と述べている。

先ず汚染を起こすようなものを置き換える。新たに再エネを系統に増やす。既存の再エネを使うだけではなく、説明責任も確保する。間もなく移転をするアップルパークは100%再生可能エネルギーを使用する。米トップだ。4MWの蓄電池もある。

数年前に100%再エネをコミットした。16年9月19日、事業活動の電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す「RE100」に参加したことを発表。Climate weekでリサ・ジャクソン氏が明らかにしたもので、クラマート・グループのイニシアティブだ。100%再エネを23カ国で達成した。

20012年以降、米アップル社のデータセンターに供給される電力は100%再生可能エネルギーで賄われている。15年11月にはアップル社のシンガポール拠点に供給する電力の100%を再エネとした。自家発電か再エネを調達している。

同社の環境リポートによれば、10年にグローバルで消費したエネルギーの35%は再エネだった。15年には93%にまで高め、100%クラブへも加盟した。 再エネの未来を考え、クリーンエネルギーに換えた。

日本絡みでは米アップル社は3月8日、電子部品メーカーのイビデン(本社・岐阜県大垣市)が同社向け製品の製造を100%再生可能エネルギー発電電力で賄うと発表した。アップルは再エネ電力の活用を促す「クリーンエネルギープログラム」と呼ぶ支援策も用意しており、イビデンは日本企業として初めて同プログラムへの参加を決めた。必要量以上の規模の太陽光発電システムを確保する。他の日本企業の追随を要求した。

日本企業には政策として早く再エネ導入を図ることが必要だ。ビジネスにプラスだと思わなければ、企業は導入に踏み切らない。調達にもコスト効果が必要だ。通常の電気代より2~3倍高く付くかもしれないものの、クリーンエネルギーはビジネスにプラスになると思わなければ企業は導入しない。日本の政策立案者にはクリエーティブに考えていただきたい。そういう風な未来を構築してもらいたい。

米国で新たな風力電力で系統につながれたものの半分以上の契約は有名ブランドあるいは新興会社が作ったもので、電力会社ではなかった。しかし、政策は必要だ。顧客が電源を選ぶ必要がある。カーボンクレジットマーケットが必要だ。そのような政策があってこそ企業も大胆な動きを起こすことができる。日本ではハイテク製造の最前線であり続けてほしい。世界のために一番良い物をつくりたい。

二番目はイケア・ジャパン(千葉県船橋市)のヘレン・フォン・ライス社長。日本進出して10年。既に8店を出店し、9店目「イケア Touchpoint 熊本」は1500平方メートルの小型店で、15年10月にオープンさせた。これを中核に日本でのビジネスを2倍にする(店舗数14店、売上高1500億円)にする計画だ。eコマースも近く始まる。重要な拠点だ。より良い人たちにとってより良い生活を作り出していきたい。若い人は責任をとってくれる会社の物を多く使いたいと考えている。

持続可能な会社から買いたいと考えている。コスト意識を持ってエネルギーのことを考えている。人々と地球に「ポジティブに」考えている。クリーンエネルギーの将来を信じている。低炭素経済を加速する。脱炭素化をビジネスとしている。「排出を削減しよう」「2度上昇内にとどめる」とのコミットメントを順守している。

1.3MWの太陽光や雨水を再生した植生を活かした店舗だ。ソーラーパネルを既存のストアも全店舗に設置し、持続可能なものになるよう働き掛けている。再エネのシェアは現在69%になった。消費者にもわれわれのオファーに参加してもらいたい。たいしたことがないと思われるが、LED電球は大事だ。照明を数年前からすべてエネルギー効率の高いLEDに換えた。白熱灯に比べ85%、20年間省エネが可能だ。将来の照明だ。

昨年、8000万個のLED電球を販売した。どれだけエネルギーを節減できるか。1年間で65万世帯分のエネルギーが節減できる。20年までに5億個販売したい。消費者は選択肢を与えられるべきだ。ソーラーを売り始めた。顧客や社会にとっても良いことを意味する。

 

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