「麻薬戦争は継続中だが、治安は非常に良い」-コロンビア貿易振興機構総裁
ゲスト:フェリペ・ハラミージョ(コロンビア貿易振興機構総裁)
テーマ:新コロンビア:和平合意後のビジネスチャンスと観光
2017年3月22日@日本記者クラブ
コロンビア貿易振興機構のフェリペ・ハラミージョ総裁が左翼ゲリラ・コロンビア革命軍との和平合意後初めて来日し、日本との輸出、観光、投資などについて語った。
サントス大統領は昨年9月26日、コロンビア革命軍(FARC)とキューバで和平合意に正式調印した。52年に及んだ内戦では、推定26万人が死亡し、600万人以上が住む場所を追われた。和平交渉には異論も多く、10 月の国民投票では50.2%が反対に投票し、国論は二分されていた。ただノーベル平和賞選考委員会は10月7日、ノーベル平和賞を同氏に贈った。
一番大きいのがコロンビアを見る目が変わったという点だ。「世界は今やコロンビアを違った国として見ている」からだ。コロンビアからの対日投資はアジアで第1位であり、15年の対日輸出も6年前の1億6500万ドルから5億4000万ドルへと大幅増加した。
現在、日本との間で両国間の貿易自由化に向け、投資、人の移動、知的財産の保護など幅広い経済連携を強化する経済連携協定(EPA)の交渉を継続中だ。米国を初めとする米州全国やEU、韓国との間でもサービス貿易の撤廃を目指す自由貿易協定(FTA)を結んでいる。
コロンビアのマクロ経済は安定している。コロンビアの平均成長率は2001~16年の長期間にわたって4.1%を保ち、16年は2%成長を達成した。IMFの予測によると、17年は2.7%成長を見込んでいる。メキシコ(2.3%)、チリ(2%)、ウルグアイ(1.2%)、ブラジル(0.5%)、ベネズエラ(マイナス4.5%)を大きく上回る。
貧困が大幅に削減され、貧困率は02年には50%近かったものの、15年には27.8%へ低下。併せて中間層が成長し、15年には30.5%を占めた。よってコロンビアは南米大陸のハブとして機能する役割を有している。
和平合意がさまざまな分野で良い成果を及ぼしているとし、なかんづく「農業」と「観光」を挙げた。コロンビアからの対日輸出産品はこれまでコーヒーと切り花が知られてきた。とりわけチューリップは世界1だ。ほかにもカカオ豆やトロピカルフルーツなどがある。
コロンビア進出日系企業は2倍に増えた。
会見後の質疑応答で、麻薬カルテルは完全に根絶されたのかに質問が集まった。ハラミージョ総裁は、「コロンビアにおける治安の状況は非常に良くなっている。ただ、世界の認識とコロンビアの現実の間にはある程度のギャップが存在する。この10年間で向上し、和平合意の達成でこれに拍車が掛かっている。ビジネスを行うために必要な条件は揃っている」と述べた。
また、「麻薬の問題は存在する。これは世界全体の問題でもある。麻薬との戦いは継続中で、完全に根絶したというのは難しい。ゲリラも社会の一員になることを明言しており、社会としても一番良い状態にあるとは言える」と語った。