石炭需要、欧米日の減少を新興国が補完し0.2%微増

 

JOGMEC調査部の竹原美佳氏

 

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は23日、石炭と天然ガス市場の最新動向についてブリーフィングを行った。

石炭はエネルギー需要の伸びの鈍化と地球温暖化対策への対応により、将来的に割合を減少させる動きは見られるものの、足元の需要は堅調。新興国を中心に今後需要は伸びる見通しであるとの見方を示した一方、天然ガスについてはクリーンエネルギーとして将来的に増加させる動きが見られるものの、経済性や需給調整、流動性、インフラ整備で石炭に比べ劣後。また、環境問題への対応やコスト削減により再生可能エネルギーとの競争が激化、ガス需要の不確実性が増大するとの見通しを示した。

調査部の竹原美佳氏は、いくらであれば石炭から天然ガスへのスイッチング(交換)が可能なのか。国あるいは地域で比較したいと考えた。域内で安価な天然ガスの調達が可能な地域以外ではCO2コストまで含めなければ石炭火力に対して天然ガス火力が優位に立つことはできないとの結論に達した。この結果、各国・各地域でのスイッチングについては検討の対象から除外した。

国際エネルギー機関(IEA)は石炭および天然ガスの需要に関して逆の動きを示している。一次エネルギーに占める石炭の比率は中・長期的に緩やかに減少していくものの、天然ガスは約43%の増加を示している。

パリ協定の発効により気候変動による対応の必要性が世界の共通認識となっており、石炭が減り、天然ガスおよび再生可能エネルギーの伸びが顕著。先進国(+中国)では石炭減少、天然ガス増加なのに対し、新興国では石炭、天然ガスがともに増えている。中東では天然ガスが大きく増加する。

パリ協定に基づく各国の削減目標を反映したIEAの新政策シナリオで長期的なトレンドは示されているものの、実際の燃料選択はその国の輸送インフラや経済発展状況によって大きく異なるのではないか、との結論に達した。

 

石炭開発部の国吉氏

 

石炭開発部の国吉氏は、石炭市場・産業界の動向について話をした。IEA新政策シナリオによると、石炭の需要は20年にかけていったん減少したのち、40年まで年率平均0.2%でわずかに増加するとみている。欧米、日本については減少するものの、インド、東南アジアの増加が他地域の減少を補完し、結果的に横ばいに推移していく。

石炭は世界に広く分布しており、産出する国内で使用される例が多く、その一部が輸出マーケットに出てくる。世界の石炭消費量は年間約80億トン弱。そのうち中国(約半分)、インドを合わせると世界の約6割を占める。世界の消費量の17%。

世界消費の半分を占める中国は国内の石炭を使っている。輸入量は1割以下だが、この変化が世界の貿易量に大きな影響を及ぼしている。これが今の実情だ。

石炭の貿易量は2000年の6億トンから15年には13億トンへの約2倍に増加している。このうち輸出国では豪州が30%と横ばい。増加が著しいのがインドネシア(9%→28%)とロシア(6%→12%)、輸入国では2000年時点ではインド3%、中国0%だったが、インドは17%、中国15%、日本15%(00年にはトップの24%)、韓国10%(10%)だった。アジアのポーションが大きい。

 

石炭業界のコールフォロー

 

石炭は貿易量の17%。主たる貿易市場はアジアと欧州だ。産地/炭鉱による品質の多様性。発電等の設備が特定銘柄の石炭品質をベースに設計されている場合が多い。

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