北朝鮮と国交を持つ166カ国対持たない26カ国
ゲスト:飯島勲氏(内閣参与=特命担当)
テーマ:日本政治を読み解く
2017年3月30日(木)@日本記者クラブ
小泉純一郎元首相の秘書歴35年。小泉氏が国会議員になってから首相を含めて35年間ずっと秘書をやってきた人物が初めて日本記者クラブで会見した。現在の与野党議員のだらしなさについて自分の考えを語った。
飯島氏がこれまでで一番すばらしいと思っている政治家は田中角栄であると断言した。1月20日に国会が召集され、63本の法案が提出されているにもかかわらず、補正予算絡みの法案が1本が通っただけで62本は成立していない。150日以上の審議をしながら、森友学園だけで来たのが今の国会の実態だ。
飯島氏が資料として出したリーダーの掟192「築地市場と黒いネズミ5000匹」(PRESIDENT2017月4月17日号)と週刊文春2017年4月6日号飯島勲の劇辛インテリジェンス185「公明との連立解消もやむなし」を読んだが、よく分からなかった。とにか政治の話は事実がないから分からない。
面白と思ったのは北朝鮮政策だ。国連加盟193カ国中北朝鮮と国交を持っているのは166カ国。この中にはロシア、中国、ドイツ、英国、イランなど。一方、北朝鮮と国交を持っていない国は日本、韓国、米国、フランス、サウジアラビア、アルゼンチン、イラク、チリ、ボツワナなど26カ国。
要は北朝鮮と国交を持っている国の方が持っていない国よりも圧倒的に多いということだ。北朝鮮との関係はネガティブなものであれ、だからといって関係を絶つことにはならないということだ。米韓中関係で考えると、北朝鮮との関係は”悪”だが、全世界の中で考えると、必ずしも”悪”とばかり考えられない。拉致問題も決して日本の思うとおりにはならないということだ。
韓国大統領戦況が今年5月9日投開票に迫っている。最有力候補の革新系の野党「共に民主党」前代表の文在寅(ムンジェイン)候補(64)は親中・親北派で、文氏が大統領になった場合、高高度ミサイル防衛体系(THAAD=サード)をめぐり、米韓関係がこじれるのは不可避の情勢だ。
15年12月の従軍慰安婦合意にも文氏は「正当性を認定するのが難しい」とし、「日本の法的責任と謝罪を明確にする新しい交渉が必要だ」と主張。合意見直しの姿勢を明らかにしている。
一方、米韓両国政府が今年夏にも配備を完了させる予定のTHHADに関し、中国やロシアが反発していることを挙げて導入は時期尚早とし、「次期政権で十分な議論と外交努力をしながら合理的に決定するのが妥当だ」と昨年末、ソウルで外国メディアとの会見で述べた。
ただ、文氏は、「米国は最も重要な国だ」とも指摘し、北朝鮮の核・ミサイルの高度化に対応するため米韓同盟強化の重要性を訴えた。支持層が広がっている中で、この対米配慮がどうなっていくか懸念材料だ。
さらに16年11月に締結した日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も「疑問だ」と指摘。竹島(韓国名・独島)の領有権で日韓が争う状況下での「締結が適切なのか疑問がある」と再検討の必要性を唱えた。
飯島氏が指摘する通り、文氏の大統領当選はよほどのことがない限り、確実な情勢だ。政策がガラッと変わる。トランプ政権と同様だ。いやはや大変な時代だ。北からの核攻撃が南も加わる可能性もあり得る。中国の参加すら考えられる。さて、どうするか。