東京内科医会市民セミナー2017

 

 

東京内科医会市民セミナーが10月1日、新宿区の新宿住友ビル47階スカイルームで開かれた。東京内科会のほか、興和創薬、日本イーライリリー、日本べーリンガーインゲルハイムが共催した。

東京内科医会理事の安田洋目黒通りハートクリニック院長は糖尿病と狭心症・心筋梗塞について基調講演し、薬で何とかなる人もいるとしながらも、手術が必要になると指摘。まず歴史の長い冠動脈バイパス手術について、胸骨や前腕にある動脈や下肢の静脈を用いて、冠動脈の病変をバイパスして血管をつなぐ手術であると説明した。単純で難しい手術でありながら、つなぐ手術の上手い、下手があるという。

もう1つはカテーテル手術。遠隔操作で風船カテーテルを用いて冠動脈の病変を拡げる手術だが、冠動脈バイパス術に比べて、全身麻酔や開胸の必要がないので、日本ではこちらのほうが圧倒的に多いと説明した。狭いところを風船で拡げる手術だ。風船治療ともいう。ドイツ人が開発した。

安田院長は糖尿病患者の血管の老化はひどいと語った。狭いところが長い。1カ所だけではなく、いろんな部分が弱い(多肢病変)。カルシウムが付きやすき石のように硬い。カテーテルが不向きで、糖尿病がある限り、冠動脈のバイパス手術を勧められる。

心臓・・・握り拳上のもの。全身に血液を送るポンプ。約1分間に5リットル。運動すると5倍の25リットル送り込む能力がある。50年間に換算すると東京ドーム1杯分。ずっと動き続けている。10秒間停止するだけで脳の血流が低下し、意識が消失する。10分間停止すると意識は元に戻らない。お腹の中にいるときからずっと動き続けているが、止まるとかなり厄介なことになる。

冠動脈・・・心筋(心臓の筋肉)に栄養を与える血管。文字通り感情に心臓の表面に覆い被さった形をしており、左右1本ずつあり、左はさらに2本に分かれている。冠動脈に生じるのが動脈硬化という現象だ。

血管・・・水道管を思い浮かべればいいが、老化する。動脈硬化。だんだん詰まってくる。糖尿病があると、コレステロールが溜まりやすくなる。狭くなり、血液の流れが悪くなり、血流が悪くなり、狭心症になる。何かの拍子でコレステロールが血管の中に出てしまうと、血の塊がべっとり付いてしまって血液が流れない状態になる。これを心筋梗塞と言う。

心筋梗塞・・・血管は半分も狭いことはない。軽い狭窄のほうが詰まりやすい。だんだん狭まってきて最後に詰まるイメージだが、ある程度狭いところが何かのストレスでコレステロールが出てしまい、血栓と呼ぶ血の塊が付く心筋梗塞になるといわれている。

突然死・・・突然火山が噴火すると、環境が壊滅し、恐ろしいことになるとの同じで、そんなに症状がないのに血管は突然閉塞して心筋梗塞を起こして突然死を起こす。ノーマークだった人が心筋梗塞を起こして突然死するのが心筋梗塞の怖いところだ。

狭心症・心筋梗塞の症状・・・手の平くらいの大きさの締め付け感があるのが特徴だ。真ん中の部分に症状があって、左の肩から左の腕にかけて放散痛といわれる痛みがする。人によっては奥歯や胃が痛む。よくよく聞くと、胸の真ん中がおかしい。なりやすい方は分かっている。肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症の「死の四重奏」だ。4つが重なったときに30倍と加速度的になりやすい。怖い病気だ。

心臓の検査・・・心臓は電気信号が出ているので心電図を測定するのは有効的だ。12個の誘導(波形の測定方法)をみて、どの場所が狭心症、心筋梗塞の変化があるのか診断する。解釈が難しいが、分かると非常に有用な検査。運動負荷心電図もある。超音波を使った心臓エコーも有効だ。弁や血液の流れも見える。被爆の問題も無いので、非常に有用で情報量も多い検査。

直接検査・・・心電図も心エコー、心筋シンチグラフィも予想。冠動脈を直接見る検査もある。挿入したカテーテルの中に注射器で造影剤を注入してレントゲン撮影を行う検査。冠動脈バイパス術。カテーテル検査。カテーテル検査をすると、血管の老化のひどい部分が一目瞭然になるので、狭心症・心筋梗塞の最終的な検査は絶対にこれになる。

 

 

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