「模倣こそ持続可能なイノベーション」

 

バイオナノテク戦略について語る東大農学生命科学研究科の五十嵐圭日子氏

 

世界最大級のナノテクノロジーの展示会「nano tech 2019=第18回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」が1月30日~2月1日、東京ビッグサイトで開催された。

展示会には500社が出展し、自動車、次世代センサー、次世代半導体、AI・ディープラーニング、MEMS・マイクロマシン、軽量化材料、化粧品、再生医療、ウェアラブルデバイス、航空・宇宙、農業、バイオミメックスなど、あらゆる産業に向けた革新的な最先端技術・材料を披露した。

ナノテクビジネスを交換するプラットフォームとして設立されたのがナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)で、今展示会では「バイオミメティクス」をテーマに下村正嗣理事長の話を聞いた。

・バイオミメティクスは滑舌が悪い言葉だが、非常に古い歴史を持っている。日本語に訳すると「生物模倣」という考え方だが、生物を見てそれにインスピレーションをかき立てられて、まねていろんなものをつくる分野。

・歴史は古くて、レオナルド・ダ・ビンチが鳥を見て飛行機の設計に思いをはせた時代に遡る。日常生活にも結構ある。発泡性のスポンジは動物の海綿をまねたもの。今世紀に入ってから急激に論文の数やパテント、国際会議、コンベンションの数が増えた。

・ネイチャーに2016年調査によると、いろんな分野で論文が増えている。いったい何があったのか。実はお金も動いている。米サンディエゴ動物園が出した経済リポート「Global biomimetics Report」によると、economics game changer と書かれている。ダビンチ指標。

・スイスでは投資に関する会議も開かれている。2011年からバイオミメティクスの国際標準化の動きが始まっている。既に3つの国際標準が動き始めている。日本からも標準化の提案をしている。

・きっかけになった研究例はナノテクノロジーと生物学がウィンーウィンのコラボレーションがあって、今世紀に入って爆発的な論文、パテントの増加につながっている。

・メゾスケールの干渉色、構造色。毛が生えていてそれによって表面積が拡大し天井にひっついたりする構造吸着、蓮の葉が水をはじくことをドイツの化学メーカーが特許を取った。鮫肌もようを考えた流体系をルフトハンザ航空が採用している。

・ナノからマイクロにかけての生物が持っている構造がエコの機能を持っている。これが爆発的な論文の数を増やしている。インダストリー4.0もバイオミメティクスが使える。自立分散型のロボットをインダストリ-4.0に絡めて出している。アリというエコシステムをうまく使ったエコシステムIOTを支えるロボット。

・ナノテクが支援していろんなマテリアルが出てきたが、ヨーロッパではさらに生態系をまねたシステムという考え方が出てきている。環境との関係。ドイツでも大きなプロジェクトが走っている。バイオテクト建築も進んでいる。構造の最適化が進んでいる。ISOの中でも一番早く標準化になった。生物の構造をまねて車のデザインをつくる。

・もっと言うとスマートシティー。そういう考え方が浸透してきている。インド・ムンバイ郊外でスマートシティーができている。

・分子レベルの分野では絹糸を想定したナイロン。ナノテクが生物学とコラボすることでマテリアル系の・・・。機械系バイオミメティクスとして昆虫型のロボットやソナーのようなセンシングシステム。新幹線の500系の形が鳥のくちばしをまねている。

・いままでもあったが、世界のトレンドはロボシステムに移行している。悪く言えば総花、良く言えば統合的な・・・。目指しているのがーサステナビリティというのが欧米ではスタンダードになっている。

・アメリカではバイオミミックリーという言葉が使われている。環境問題のソリューションだと主張している。エコロジカルな視点でもある。生物多様性をいかに環境と調和しながら経済活動に利用していくか。これがSDGSのベースになる考え方だ。

・sustainabilityとdiverisityとのどう関係するのか。マイクロプラスチックが蓄積されて新しい地層ができる。オゾンホールの研究でノーベル賞をもらったクルッテン氏が主張している。新世代の第4期にあると言われているが、彼は「既にそれは終わった。(マイクロプラスチックのような)人の活動が残る地質時代に入った」と言う。

・化石燃料系の燃料を使ってユビキタスであるけれども、使うためには還元しなければならない。ビルを作り空を飛び情報を司る。それに対して生物はどこにでもあるものを使っており時間はかかるものの、再生可能エネルギーを使っている。これをまねるのは1つの方法だ。

・蓮の葉が水をはじく姿を紹介したが、私たちが水をはじく材料を欲しいと思ったらすぐテフロン。しかし、植物はテフロンを使わずに表面の構造で旅をする。何か機能発電する際に、パラダイムが違う生物がほしい。プロセスも異なる。生物が作るプロセスはサステナブルだ。それを使えばバイオエコノミーだが、生物がやっているプロセスをまねて何かしようとするのがバイオミメティクスとなる。

・どうすればいいのか。膨大なビッグデータからどう技術移転をするかということを考えなければいけない。それで提案したいのがバイオミメティクスインフォマティクスだ。マテリアル系のデータはあるが、虫の表面の構造はどうなっているかなど形態に関するものはほとんどない。画像を中心としたデータがほしい。

・帝人のナノフロント。浜松医大の春山教授。抗がん剤の副作用で指紋が。新聞がめくれない。ナノフロントで手袋をつくる。新聞がめくれる。

・生物学の持っている膨大なデータをエンジニアリングに移転するためにはあまり着目されていない形態のデータを組織的に集めて検索エンジンを使いながら構築させたい。マテリアル系のデータベースとコラボしながらバイオミメティクスインフォマティクスを作っていきたい。

 

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