練馬区空き家セミナー

 

嫁ぐ日by古賀晟(練馬区役所本庁舎1階ロビー)

 

東京都練馬区環境部主催の空き家セミナーが3月10日、同区役所アナトリウム地下多目的会議室で行われ、講演会後、個別の無料相談会が実施された。空き家の担当窓口は環境課。

行政が主体ながらも、関係する司法書士会、行政書士会、公益社団法人全日本不動産協会東京都本部練馬支部など専門家団体として出席し、今後の取り組み方を提示した。

空き家相談は日本国中至るところで開かれているものの、正直どこに行って相談すればいいのか分からないのが実情だ。この日は練馬区の空き家対策、空き家にしない相続の勧め、不動産業としての今後の取り組み方などが話された。

・日曜日の午前10時に時間を設定したが、多数の人々が来てくださった。これは空き家問題が身近な問題、差し迫った問題となっていることを痛感した次第。

・空き家は時間が経てば経つほど解決が難しくなる。練馬区では区内に空き家を所有または管理する方々を支援するため、西京信用金庫、城北信用金庫、東京シティ信用金庫、西武信用金庫、巣鴨信用近畿、東京信用金庫の6地域金融機関と「練馬区における空家等対策に関する協定」を締結している。空き家の解体や活用に伴う費用等の資金ニーズに応えるため、独自のメニューを用意している。

・本セミナーは平成27年度(2015年度)以降、空き家の発生予防策の一環として毎年開催している。

「みどりのまちづくりセンター」は空き家の所有者と活用したい方とをマッチングする相談窓口業務を2年前から行っている。情報発信を強化し、解決支援、専門家との連携に努めている。地域のために活用したい。

・練馬区の空き家は2015年5月~16年3月にかけて区内全域の民間建築物全棟調査を実施。外観目視による空き家判定を行った結果、空き家は約15万棟のうち1507棟あった。1%程度。他の区と比べ、「多くはないが、決して少なくない数字」と受け止めている(環境課まち美化推進係長・樋口哲也)。

・空き家になると、近所から連絡があり、個別に対応しているのが実情だ。樹木が自分の家に伸びてきている、雑草繁茂に関する苦情がほとんどで、「ほぼ毎日どこかの現場には行っている」。

・「空き家等対策の推進に関する特別措置法」(平成27年=15年5月全面施行)。特定空き家に認定されると、指導→勧告→命令と進み、最終的に区が強制的に代執行を行い、所有者に費用を請求することになる。区内では指導→勧告に行っているケースもある。ただ代執行はまだ例がない。

・空き家になると何が問題か。樹木の境界越境や雑草繁茂に関する苦情が最も多く、不審者の侵入やハクビシン等動物の棲み着き被害も少なくない。

・主な解決方法は①適正に維持管理し、持ち続ける②売却し収入を得る③利活用し収入を得る④解体後の土地を活用する⑤空き家を通じて地域に貢献する-など。

・人が住んでないとあっという間に劣化する。ちゃんと住んでいただく前提で定期管理は必須。空き家を持ち続けないことを選択した場合、専門家への早めの相談が肝要だ。

・相続により取得した家屋を譲渡する場合、一定の要件を満たしたときは、譲渡所得から3000万円を控除できる制度が2023年12月末まで適用される。売却を考えている方はここ数年で売却したほうがよい。

・不動産を共有にするかどうか。のちに売却するにも賃貸したり利活用するにしても相続人の意見がまとまらないケースが多く、不動産は共有しないことをお勧めしたい(東京都行政書士会練馬支部 石井則子氏)。

 

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