東京都薬用植物園
小平市にある最後の観光スポットは東京都薬用植物園(小平市中島町21)。東京都福祉保健局健康安全研究センターの試験研究用の植物園。1946年(昭和21年)設立以来、薬務行政の一環として薬用植物の収集・栽培を行っている。入場無料。
約3.1ヘクタールの敷地内には製薬や漢方、民間薬に使われる薬草のほか、染料や食品添加物の原料、ハーブなど約1670種の植物が栽培されている。
一般の植物園では見られないのがケシ・アサ試験区の圃場(ほじょう)。同圃場はいつもは二重柵に囲まれ、監視カメラまで設置され、厳重警戒されているが、5月5日と6日だけは外側の柵が開放され、内柵越しながら間近にケシを眺められる。
しかも、この2日間には同植物園の中村耕主任研究員によるケシのミニ講座が1時間実施されるという。そんなことを意識してこの日に来たわけではないが、これも巡り合わせである。
東京都薬用植物園は都内で唯一、合法的にケシを栽培している施設。眺められるのも当然ここだけだ。ケシの花期は5~6月。今回は一般対象だが、警察、保健所、薬学関係者などの研修が殺到するという。
ケシは世界に約110種類あるが、麻薬成分を含むため栽培が法律で規制されている種は日本で3種類。その1つがパパベル・ソムニフェルム種。紫の花のトルコ種、赤い花のインド種、ほかにボスニア種がある。
また、ソムニフェルムより小ぶりの北アフリカ原産のパパベル・セティゲルム種(和名アツミゲシ)やパパベル・ブラクテアツム(和名ハカマオニゲシ)もある。アツミゲシは繁殖力が強く、ハカマゲシは深紅の花に黒い特徴的な模様が入る。
植えてはいけないケシを見分けるポイントを伝えるのが主任研究員の仕事だが、難しいのこのサイトを参考にしてほしい。
正門を入ってすぐのガラスの冷房室に前日に開花したばかりの「ヒマラヤの青いケシ」が咲いていた。ヒマラヤやチベットなど高山地帯原産で、麻薬成分を含まないため、植えてもよいケシに分類される。
ただ寒さに強いわりには暑さに弱く、種子の発芽率も悪いため、栽培が非常に難しく「幻の花」とも呼ばれる。