「低投票率は社会喪失状態の現れか」白井聡氏

カテゴリー: 会見メモ, 投票/選挙/改元, 政治/外交/国際/軍事

2019/07/31  17:39


 

ラフな格好で現れた白井氏

 

ゲスト:白井聡(しらい・さとし)京都精華大学専任講師
テーマ:2019年参院選後の日本・民意を読む
2019年7月31日@日本記者クラブ

 

『永続敗戦論』『国体論ー菊と星条旗』などの著書がある政治学者の白井聡・京都精華大学専任講師が参院選から見る民意について語った。

・山本太郎の快挙ー民衆は何をなし得るのか。彼とは2,3度会って人となりも知って好感も持っていたが、今回は山本太郎の躍進だ。彼の快挙であることは重々強調されるべきだと思う。

・投票日前はほとんど無視される中、お金も一文無しから始めた。寄付で3億円くらい集めた。ゼロからの出発だった。

・山本太郎は「れいわ新選組」を登録した。政治家が使おうとしても使えないようにした。巧妙なやり方だ。自民党の党内的事情から生まれた参議院選の特定枠に自分は落ちてもいいから重度身体障害者2人を送り込みたい。立法過程に当事者そのものが入るのはものすごいことだ。

・ハンセン症患者の政治利用。誠に下劣な政治。

・90数万票取って本人は落選というのは世界的なニュースになる。こんな政治家が日本にいたんだと一気に注目を集めた。

・永田町的にスキルが上達したから良い政治家と言えるのか、そんなことはない。3.11原発事故で地獄の釜のフタが開いた。やっぱりこういう国だったんだという本当の姿がベールを外してぬっと姿を現してきた。私はそれを永続敗戦レージームという名前を付けた。

・君たちは何もできやしない。大事なことを決めるのは私たちだ。お前らは何の権限もない。お前たちができるのは大人しく働いて大人しく死ぬだけだから。お前たちは何もできない。このメッセージが社会を覆っている。これを敏感に受けているのが若年層。

・いやわれわれ群衆は本当は何もできないんではないんだ。俺たちは何かをなし得るんだ。本当は潜在的にそういう力がある。権力はこうした図を嫌っていて、また恐れてもいる。だから実態的には意味のないことを防ごうとしている。

・野党の中心はどこにあるのか。勢いの点から言うと、もう枝野じゃないよね。枝野から太郎へ。枝野は若者たちの声を受け止めそこなったんじゃないですか。

・自民党を中核とするところの永続敗戦レジームに対する旧民主党とは何だったのか。半分は自民党に居損なった人たちが在籍しているだけで中身は自民党と変わらない。他方で一部戦後の異様な対米従属体制に批判的なスタンスを取る人たち。この奇妙な状態から脱出しなければいけないと考えている人がいた。

・その人たちがやろうとしていることが表面化したのが鳩山政権だった。普天間基地の最低でも県外へ。永続敗戦レジーム陣営がアレルギー反応を示した。陣営は自民党だけじゃなく、政官財メディア全部だ。

・日米安保体制は戦前の天皇制の後継者。日米安保体制を基礎としない日本を考えること、想像することもこれらも反国体の思想だから想像してはならない。想像するのは非国民だ。これが戦後日本の対米従属の異様さ。

・鳩山政権は無防備に踏み出していった。猛烈な反撃を食らって引きずり下ろされた。みんなやりたいことを共有した政権を作れなかった。民主党がごった煮集団だったから。

・とにかく議員になりたい政治ゴロがわんさか寄ってくる。身体検査がなっていない上、原理原則ではなく党幹部の好き嫌いで物事を決めている。理念を共有することも難しい。

・立憲民主党の枝野さんは日本の対米従属を相対化することが理念だが、民主党内の立憲民主党なるもの、小澤一郎的なるものを共有していない。していない理由もレベルが低い。

・枝野さんは小澤、鳩山ラインに極めて批判的。批判の根拠はよく分からない。民主党失政のツケを小澤・鳩山に押しつけた。中学・高校の部活動と同じレベルだ。民衆からの期待に応えることをやってこなかった。

・ポピュリズムという言葉はほとんど使わない。あまりにいい加減な言葉だから。何を言っているのかさっぱり分からない。大衆迎合主義。分析の概念としてはほぼ役に立たない。

・れいわ新選組は無縁の体現者。もう少し分かりやすく言うと、消費税とは何か。大企業を富ませるために使われてきた。これは廃止だ。これは階級闘争の宣言だ。

・今の階級が腐った縁(関係)になっている。だからこれを断ち切るんだ。無縁になるんだ。れいわ新選組が突き出して見せてくれたことに面白さがある。議会制民主主義はだめだと言われていたが、ここに差し込んだ希望の鍵だ。

・絶望という視点からみると、「NHKから国民を守る党」の躍進。これは何なんだ。こんなのが議席を取った。政党要件満たしたよ。驚くべき現象だ。

・立花孝志党首(51)は大変優秀な人だ。1活動家から始め地方議会で議席を取り、同志を募って議席を増やし、遂に国会に議席を得た。同志を増やす過程で「これはお金になるよ」「もうかるよ」「勝ったらリッチになれるよ」。

・NHKへの嫌悪が国民に広がっている背景がある。「勝手に電波を流しておいて見てるのか金払え」。放送法はとんでもない悪法だ。しかし、まあ悪法だが、性がないんじゃないか。ましだ。

・しかし安倍政権になってからの政治部主導するところの報道の姿勢は度を超していると思わない瞬間がないでもない。オンデマンドで金を取るのは料金の二重取りではないか。無料開放するのが当たり前。こういうことをやっている限り激しく嫌悪されるのは当然だ。これが表面化した。

・しかし、これは非常にやばい現象だ。議員も拡大しており、ゴミためと化している。質の低下があるレベルを超えてしまった。こういう議員が続々現れている。このゴミがどこから湧いてくるのか。検証が必要だ。

・小選挙区制の弊害が大きい。世襲だけでは足りない。公募をかける。公募で来た奴は最低、最悪。政治家ごっこをするのが若いころから好きな連中。馬鹿で中身がないと徹底して軽蔑していた。

・薄っぺらいくせに議論好き。やたらと憲法問題と安全保障問題に拘りたがる。こういう人種が卒業後に松下政経塾とかに入ってあるいは官僚になって政治家への道をばく進し始める。

・自民党から出られれば最善。落ちたら旧民主党、みんなの党とか維新の会。何の勉強もしていない。とにかく政治家になりたい。その欲望だけ。最も政治家にしてはいけない人物。

・絶対政治家にしてはいけない人物を一所懸命選んでその人たちだけが国会議員になる。地方議員もいる。掃いて捨てても掃いて捨てても現れてくる。議会制民主主義に絶望しますよ。これは低投票率として現れてくる。

・投票率は74%から50%、48%と低下。はっきりと貧しくなっているのに投票所に戻ってきていない。

・低投票率は政治的には表層のこと。政治的に無関心がある。社会的無関心。社会って何か。社会的無関心な人にとっては社会は存在しないのではないか。

・サブカルチャーの世界系。世界は終わるが、「私と彼女の世界は永遠」。私と世界はあるが、社会は一切登場しない。

・サッチャー「社会なんてものは存在しない」。社会的な意見なんてそもそも持っていない。存在しないから。社会喪失状態が現れている。低投票率は小さな一端の現れ。

・「選挙に行けと言われると上から目線。消費税が上がるといわれてもそれがどう生活に影響するか分からない」(20代)。そもそも何かを分かろうとしていない。つもりがないらしい。「それはちゃんと分かったほうがいいじゃないですか」「分からなければならないですよ」とアドバイスをすると、「それは上から目線だ」とぶち切れる。どうしたらいいんですかね。

 

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