首都圏を直撃し21河川で堤防を決壊させた「台風19号」の脅威

 

台風19号は12日（日）夜に静岡県伊豆半島に上陸し、つい先の15号に続き首都圏を直撃した。テレビは19号が記録的な大型台風であることを強調し、鉄道もバスもすべての交通機関が計画運休した。気象庁も国民に「命を守る行動」をとるよう呼び掛けた。

わが家も10日（木）には植木を家内に取り込み、２台の自転車をさるすべりの木と一緒に紐で互いにきつく縛った。11日（金）は幕張メッセに出かけたが、午後7時すぎには帰宅。12日朝には2階の窓のうち外から風に運ばれて物が飛んできそうな窓2カ所に粘着テープをクロス型に貼った。向かいのマンションの駐輪場の自転車が飛んできたらどうしようか不安だったが、それほどでもなく大丈夫だった。

買いだめは9日あたりから始まっていた。スーパーの棚から物が消えた。懐中電灯や養生テープも姿を消し、お米やラーメンなどもなくなった。事前の準備だ。

わが家もテープを貼った。「窓ガラスに”米”の字に養生テープやガムテープを貼る方法」が勧められている。大災害の危機管理対応を行う米連邦緊急事態管理庁（FEMA）は「窓へのテーピングは時間と労力のムダであり、飛び散る破片に対しての保護能力もない」と警告しており、それをそのまま引用した指摘もあるが、果たしてどうか。

窓ガラスの大きさや室内では靴を履かない日本では小さく砕けた破片で足を傷つける恐れがあるからだ。むしろ雨戸を付けることを義務化したい。わが家も2階は雨戸がない。大型台風の将来は想定していなかった。考え直す必要がありそうだ。

12日（土）はテレビの前に座って台風情報を注視した。朝から晩まで家から一歩も出ず、ずっと見続けるというのも疲れるものだ。

夜9時19分、東京地方に特別警報（大雨）が飛び込んできた。すごい鳴り物入りだった。「東京地方には災害がすでに発生している。命を守る行動をとってください」。事実、その後続々と明らかになったが、記録的な大雨で長野市の千曲川や栃木県佐野市の秋山川、茨城県常陸大宮市の那珂川、埼玉県川越市の越辺川、宮城県や福島県両県を流れる阿武隈川流域などで河川が氾濫し水浸しになった。

気象庁は一時、過去最多の12都道県に大雨特別警報を出し、警戒を呼び掛けた。降った雨の量が半端じゃなかった。12日も夜になってから。各地で複数の河川が危険水位を超えたのだ。

各地のダムの貯水量が増えたため、水があふれないよう緊急放水する時間がテレビで流れた。放水する時間を遅らせたり、早めたり、やりくりに大変だった。

「まさか一晩でこんなことになるとは・・・」「つらい。とても現実とは思えない」「崩れた土砂で車が流され、自宅に突っ込んだ」と被災者は途方に暮れた。

13日（日）朝、テレビを付けると北陸新幹線の車両基地が浸水し、水に浸かっている光景を見ることになった。12日夜の段階でテレビ朝日が東京都世田谷区の多摩川が氾濫し二子多摩川駅周辺が水没したと伝えていた。

NHKは現場に人が出ているのかと思った。各地放送局から伝える中で現場がどうなっているのかさっぱり分からなかった。テレビ朝日の報道の機敏さが光っていた。

日曜日（14日）の東京地方は朝から快晴。明るい日差しが差し込んだ。テレビの前に座って腰が痛くなった。少し歩くと目白通り。四商通りとの交差点にあるアート引越センターの表門の窓ガラスはしっかりとテープが貼られ、ドアの下の部分は土嚢で水止めがしてあった。さすが引っ越し屋だ。防災対策がしっかりできていた。

むしろ目白通りを20mほど四商通りに入ったところにある大きな窓ガラスのあるオートバイ屋は何も防災対策が施されていなかった。どう考えてもこちらのほうが危険いっぱいなのにと思った。すぐ裏は石神井川が流れている。4ｍ以上の深い川で桜並木になっている。水量はそれほどでもなかった。低い土地で、被害が出そうな感じだ。

石神井川沿いを歩いて石神井池まで行った。ところどころぬかるんでいたが、ススキも芽を出して秋の気配が濃厚だった。少し暑くもあったが、気持ちが良かった。被災した人たちには申し訳ないが、どうしようもない。

のんびり公園を歩き、パークス石神井店で1串3個の「三福だんご」を食べた。大福、幸福、裕福の3つの福が一体になった縁起の良いだんご。上新粉を蒸して杵つきした団子でくるみの味噌と特製醤油だれの2種類があった。2つとも試してみた。

14日付朝刊によると、台風19号による被害状況は14日午前零時時点で死者35人・行方不明者17人、重軽傷者187人、住宅被害は1800棟、停電約52万戸、断水約12万戸に上っている。多分今後増えるだろう。