試写会:実話を基にした『国家が破産する日』の描いた韓国IMF危機

 

作品名:『国家が破産する日』
監督:チェ・グクヒ
キャスト:韓国銀行の通貨政策チーム長ハン:キム・ヘス
金融コンサルタント・ユン:ユ・アイン
町工場の経営者ガプス:ホ・ジュノ
国際通貨基金(IMF)専務理事:ヴァンサン・カッセル
10月23日@日本記者クラブ
11月8日シネマート新宿、シネマート心斎橋など全国順次ロードショー

 

韓国経済は1997年、急成長を遂げて世界の金持ちグループ「経済協力開発機構」(OECD)入りし、いつまでも好景気が続くと信じて疑う者はいなかった。大好況を祝福する言葉が踊る中、韓国銀行(中央銀行)の通貨政策チーム長ハンは通貨危機の到来を予測し、この事実を国民に知らすべきだと主張した。

ハンは危機を防ぐべく、大統領府を説得して対策を講じようとするが、政府は対策チームを非公開化し、国民には何も公表しないことを決めた。「混乱を招くだけだ」と強く反対したのは経済官庁の財政局次官パク・デヨンだった。

国家破産まで残された時間は7日間。

独自に危機の兆候をキャッチし、これを好機とみた総合金融会社の若手金融マンのユンは会社を辞め、コンサルタントとして大勝負に出る。

一方で、何も知らない、人のよい零細食器工場の社長であるガプスは、有名デパートと初めて契約が出来たことに喜ぶが、支払いが手形だったことに戸惑いを示す。

ハンはIMFの融資条件は国民に多大な苦痛をもたらすとして拒否するよう主張するが、受け入れられず辞職を決意する。韓国政府は1997年10月27日、経済危機説を否定しながらも、11月21日にはIMFに金融支援を要請すると発表した。

予測が的中したユンは人々が生活苦で手放したマンションを安値で買いあさり、さらなる大もうけをもくろむ。デパートの経営破綻によって資金繰りに窮したガプスは自殺しようとするが、子供のことを思って踏み切れない。

映画『国家が破産する日』はタイ、インドネシア、韓国などの通貨暴落をめぐって起こった危機のうち、特に韓国を的にした作品だ。世界を巻き込んでさまざまな国が苦悩した。国家がIMFからの金融支援(550億ドル)を要請する中で、政府内でエリート主義的な思考の財政局次官に押しやられ苦悩する韓国銀行通貨政策チーム長ハン、結局何もできないであろう政府の無能さを逆手に取って一攫千金を狙う若手金融マン・ユン、一方未曾有の危機に直面して途方に暮れる無知蒙昧な経営者ガプスと3つの物語を一般化して同時進行させる。

作品は対象を3つの話を明確に分割して映像化しているが、これは映画作品としての誇張だ。真実はそんなに簡単ではない。脚本家のオム・ソンミン氏はオフィシャルサイトのインタビューで、「どこまでが実話なのか」との問いに、「非公開で運営された対策チームがあったということ」と、「97年経済危機の前後の状況までは実話をもとにしている」と述べている。

人物像についてもハン氏については「こんな人がいたらどれほど良かっただろうか」という気持ちで作った人物であるうえ、ユ氏は「危機に対処する人物」として書いたと説明。ガプス氏は当時とても大変な思いをした方々の合わせた1キャラクター」と明かしている。つまり、実在の人物はいないのであり、いずれも当時を想定して脚本家が創作したと語っている。

米次官がIMF交渉団とホテルに投宿し、裏側でIMFチームに交渉を指示していたなど事実に反する点も幾つかあるようだ。事実と反する点についてはジェトロ・アジア経済研究所がコラムで指摘している。

 

※以下のサイトを参考にしました。
・映画『国家が破産する日』オフィシャルサイト
・ジェトロ・アジア経済研究所「文化ののぞき穴
・関連サイト

 

 

 

 

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