「デジタル化の進展はチャンス」と日本記者クラブ創立50周年パーティーで語った安倍首相

 

登壇した安倍首相

日本記者クラブが誕生して1日で50周年がたったという。50年前というのは1969年11月1日だ。私が大学に入学したのは1968年だったから、翌年である。あれから50年がたってしまった。68年は大阪万博の年だった。人生はあっという間だ。

国内では大学紛争が燃えさかっていた時代だった。東大の入試も中止になった。ベトナム戦争反対運動も盛んだった。私は兵庫の田舎から東京に来てまだ2年目で、右往左往していた。

ただ経済はなぜだか強く、日本の1968年の国民総生産(GDP)は50兆円台に乗せ、ドル換算で西独を抜き、世界第2位になった。将来への見通しも明るく未来に夢の持てる元気のある時代でもあった。

安倍晋三首相は1日、この日本記者クラブ創立50周年記念パーティーに出席し、「50年前はまたアポロ11号が月面着陸に成功した年で、この映像はメディアを通じて世界に発信され、テレビの前で釘付けになっていたことを思い出す」とし、「メディアの役割も極めて大きなものがあった」と語ってみせた。

その上で1969年から現在までの50年間でメディア界でもデジタル化が進展し、SNS(交流サイト)も登場した結果、「横並びでどこかで聞いたような独りよがりな発信は誰にも見向きもされなくなった」と発言し、こうした変化をピンチではなくチャンスと捉えられないメディアは生き残れないと語った。それは政界も同じだと言った。元気を失いつつある最近のメディアを勇気づけたのだろう。

 

升酒の香りも

 

安倍首相は15分ほど話をして、公務のためにクラブを後にしたが、いつも首相の顔色を見ている政治記者らのコメントによると、顔色は良くなかったという。彼らは他人の顔色をうかがうのが商売だ。

首相は9月の第4次再改造内閣で菅原一秀経済産業相に続き河井克行法相も辞任し、陳謝したばかり。長期政権の緩みが深刻で、緊張感の欠如も指摘されている。首相出席のドタキャンも懸念されていたほどだった。

なぜ首相の顔色が悪いのかについては見方が分かれる。顔色を読むことが果たしてできるのか。うまく隠せる人もいる。しかし首相はうまく隠せない人だとベテラン政治記者は言う。

どうも7月21日の参議院選挙時に衆議院も解散しダブル選挙にしたかったが、そうできなかったことが背景にあるのだと言う記者もいた。その論理はよく分からないが、そもそも政治の世界に論理はあるのか。

首相は衆院解散もできる状況を作ったものの、10%への消費増税実施もあって結局解散は見送った。衆院を解散すると10月実施予定の消費増税の是非が問われ、これは困ると麻生太郎副総理・財務相が反対し、首相がこれを受け入れた。参院選は勝利し、「国政選挙6連勝」を飾ったものの、改憲勢力は参院全体の3分の2を割り込み、早期憲法改正実施のハードルは上がった。

しかし、改造内閣で今回のような「辞任ドミノ」が起こる事態を招いた状況にイラ立ちを深めているのがこの日の顔色に現れたのではないかという。

よく分からない。相手の顔色を見ながら、「他人(安倍首相)の心を忖度(そんたく)する」のは極めて非生産的だ。本当のところは分からないのだから。一層のことAI(人工知能)にでも診断してもらったほうがいいようにすら思うほどだ。

AIと忖度については中国の大手IT企業テンセントの提供するAIキャラクターが中国共産党を批判し、サービス停止に追い込まれる騒ぎが起きたことを思い出した。

これは「ITmediaビジネスオンライン」(2017年9月07日)をたまたま見て思い出したニュースだ。香港メディアの報道によると、このAIは「中国共産党万歳」という書き込みに対して、「こんなに腐敗している政治に万歳するの?」と反論したという。また、習近平国家主席の提唱する「中国の夢」というキャッチフレーズに対しては「それはアメリカに移住すること」と回答したという。

この話はネット上で一気に拡散し、大騒ぎになったことからテンセントはサービスを停止。システムは改良され、同じような質問には回答しなくなったようだ。

そもそも中国は言論の自由の存在しない国である。しかし日本にもおおおっぴらに言ってはいけない「タブー」も多く存在する。AIはこうしたことをどう診断するのだろう。

日本記者クラブ創立50周年の新たな試みとして、「ウェブ50年史」が作成された。重量感のあるデザインで、創立以来の注目会見を年代別に写真と記事で紹介している。一読していただければ会員の1人としても望外の喜びだ。

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