東京国立博物館で「高御座」と「御帳台」を参観、3月からは京都御所で
天皇陛下が即位の儀式で使用された「高御座」(たかみくら)と皇后陛下の使われた「御帳台」(みちょうだい)が東京・上野の東京国立博物館で一般公開されている。入場は無料で、東京での公開は2019年12月22日から1月19日まで。一般公開は京都御所でも3月1~22日まで行われる。
1月2日に上野に初詣に出掛けたら、ちょうど東京国立博物館の前を通った。無料だし、もう二度と見ることができないものなので行列に並ぶことにした。80分待ちだったが、50分ほどで入れた。
儀式では天皇陛下は「高御座」の上に立ち、即位を宣言された。隣の御帳台では皇后さまが見守られた。本館特別4室では周りをアクリル板で囲い、閒近で見ることができた。フラッシュをたかないで写真撮影も可能だった。
儀式で天皇陛下が着用された装束は黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)。この色は太陽が最も高くのぼった時の色とされ、天皇しか着ることを許されないもので、この装束を着て即位を宣言された。
高御座の高さは約6.5メートル、重さは8トンもある。天皇即位の時にのみ使われる御座。古くは8世紀の文献にもその名を見ることができる。
現在の高御座と御帳台は大正4年(1915年)、大正天皇が即位する際に製作されたもの。これがさらに昭和、平成、そして令和に使われている。
普段は京都御所に保管されていて、即位礼正殿の儀のために1500個ほどの部品に解体し、陸路で運ばれ、皇居で組み立てられた。
特別公開時に配布されたパンフレットによると、高御座は、朱塗りの高欄をめぐらせた黒漆塗りの方形の継壇(つぎだん)を基壇とし、八角形の床板を2段に重ね、8本の円柱が八角形の蓋(きぬがさ=屋根)を支えている。
蓋の頂上の露盤には大鳳(たいほう)1羽を、蓋の各角の蕨手(わらびて)には小鳳8羽を、合計9羽の鳳凰の像を乗せている。
そして全体にわたって、白玉を嵌入した華形(はながた)、銀メッキの鏡光などの飾り金具で装飾されている。内側には椅子があり、左右に剣璽と国璽および御璽を置く小卓がある。
御帳台は高御座の隣に置かれる。高御座とほぼ同じ作りだが、蓋には鸞(らん)という瑞鳥(ずいちょう=めでたいことの起こる前兆とされる鳥)の像を飾り、また高御座より少し小振りになっている。
即位の礼に当たって、儀式の威厳を整えるために捧持(ほうじ)する太刀、弓、やなぐい、ほこ、楯のことを威儀物(いぎもの)と呼んでおり、文官が威儀物を捧持するほか、武官が威儀の者を務める。
宮中では毎年11月に「新嘗祭」(にいなめさい)という儀式が行われる。その年に収穫された米などを天皇が皇室の祖先とされ天照大神など神々に備え、自身もこれらを食し五穀豊穣や国家安寧を祈る儀式だが、7世紀後半頃から新天皇の即位後初めての新嘗祭は「大嘗祭」(だいじょうさい)として区別され、天皇一代につき一度のみ実施される皇位継承の儀式となった。
この儀式が昨年11月14日夜から15日早朝にかけて行われた。そのとき皇居内に設営されたのが「大嘗宮」。大嘗宮の一般公開も11月21日から12月8日まで18日間実施された。
同時期に紅葉の綺麗な皇居乾通りの一般公開も行われたため、一般公開が終わった後に取り壊される大嘗宮もそれまでに見ておきたいと希望する人たちが押しかけたようだ。
こちらはすっかり失念していた。秋篠宮さまが18年に「宗教色の強いものを国費で賄うことが適当かどうか」と疑念を呈されたこともかすかに引っかかっていたが、見なかった。
天皇家に素朴な関心を持っている国民も少なくない。異常な関心を持っている人も少なからずいるだろう。しかし、大半の国民はそんなに強い関心は持っていない。
nippon.com(2019.05.02)によると、今回の皇位継承(代替わり)にかかる費用は166億円と見込まれている。既に執行された18年度予算と今後計上される20年度予算の合計で、集中する19年度単独では144億円となっている。
前回と比べると約3割の増加で、政府は招待客や祝宴の回数を減らすなど削減にも努めたが、人件費や資材費の高騰により急増したとしている。