「横濱ビア柿」「横浜ナポリタン」を商品化した美濃屋あられに企業価値認定
中小企業が持つ特徴的な価値に気づき(発見)、その価値を世の中に伝え(広報)、さらにその価値を長く続けるために進化発展させる(進化)活動を行っている一般社団法人企業価値協会(武井則夫理事長)主催の2020年上期企業価値認定式が2月5日(水)、パレスホテル東京で開かれた。
あいさつに立った東京中小企業投資育成株式会社の望月晴文社長(元経済産業次官、協会顧問)は、「日本経済の基盤は誰が支えているのか。答えは中小企業だが、その中小企業は自分の価値をしっかり認識しておらず、世間からもさほど評価されていないのが実情だ」とした上、「自社の価値に気づき、価格競争に巻き込まれることなく、正当に評価される存在になるのはそうした中小企業をきちんとした評価する仕組みが必要。そうした企業を『企業価値認定』という形で出し続けることが重要だ」と述べた。
企業価値協会が誕生したのは2012年。日本の中小企業が持っている「素晴らしい価値」に光を当て、それを世の中に広く伝えることで日本経済を元気にすることが武井氏の狙いだった。この狙いは徐々にながら実現しつつある。
企業価値認定とは、企業が持つ特徴的な価値を評価し、それを認定する制度。独自の経営のやり方、ビジネスモデル、収益構造、経営理念、事業コンセプト、お客様や地域社会からの評価、社会貢献活動、技術、企画など多様な独自性などが挙げられる。
企業価値協会の審査委員会が審査し、「お客様や社会が必要とする特徴的価値を有する」と判断した企業を認定する。認定を受けると、各メディアとのパイプができ、取り上げられる機会が増えてくる。メディアを絡め、これとのパイプを提供するのがミソだ。
認定式の前に企業価値フォーラムを開催し、認定を受けた3社の代表が事例発表を行った。自社の特徴を一生懸命に熱弁する姿が好ましく、毎年この発表を聞くのを楽しみにしている。最初に発表したのは美濃屋あられ製造本舗(横浜市中区小港町)の小森健太郎社長だった。
JAグループ福岡によると、「あられと、おかきの違いはズバリ、大きさ」らしい。あられは冬に降る「あられ」くらいの小粒だが、おかきはそれより大きめ。材料は同じもち米だ。揚げる、焼くなど作り方の工程や塩や醤油などの味付けは関係ない。
これは現代の分類だが、昔は作り方や食べ方も違っていた。もちを細かくするために、あられは包丁、おかきは槌(つち)を使ったようだ。
おかきはどの家でも作る鏡もちを材料にしたいわば”庶民の味”。これに対しあられは奈良時代の宮廷では”おもてなし料理”で、唐(今の中国)など海外からの客人に出していた。
おかきもあられも米を使った菓子の米菓。一方、せんべいはもち米ではなくうるち米を材料にした。江戸時代に茶店で、余った団子をつぶして食べたのが始まりのようだ。
米が違うと食感が異なってくる。うるち米を使用するせんべいは少し硬めに仕上がっている。ただ最近は、ふくらし粉などを混ぜて、柔らかい食感になるように工夫したせんべいも出ている。
実はあられについて詳しくなかったので、少し調べた。小森社長によると、最近はデンプンを増量剤に使い価格を下げるところもあるが、小森社長によると、美濃屋はそうしたものは一切使わず100%もち米を原料としている。
「柿の種」と言えば、亀田製菓(新潟市)が有名だが、横浜には「横浜の柿の種」があると小森氏は指摘する。横浜をテーマにしたあられで、「横浜でお土産を選ぶなら、横浜を持って返ってもらいたい」
横浜はビール発祥の地でもある。キリンビールの他、クラフトビールが4社もある。ビール発祥の地・横浜ならではの商品を作っていけないかとの思いもあった。ビールにピッタリの柿の種、柿ピーを楽しんでいただきたい。「横浜ビア柿」は辛口、濃口、ビールにピッタリ!のコンセプトで作っている。
実はナポリタン発祥の街は横浜だ。ホテルニューグランドだ。ケチャップ発祥の街も横浜。ケチャップスパゲッティは結構前からあったが、ナポリタンという名前で戦後広がっていったのは横浜からだ。日本ナポリタン学会が2009年に設立された。ナポリタンはイタリアにはない。日本ならではだ。12年5月にイタリアに行き、ナポリでナポリタンを食べさせたらどうなるのだろう。ナポリ市長にも食べていただいた。
イタリア人からはアメリカナイズされたケチャップなんかもってのほかと言われたが、ケチャップナポリタンも日本独自の文化だ。最近ブームになっており、古くて新しいナポリタンで横浜を盛り上げていきたい。