「10万円特別定額給付金」騒動=マイナンバーカード持っていても読取機なければ申請できず
■「特別定額給付金」のお知らせ
情報はしっかり入手・掌握しておかなくてはならない。情報の出し手の対応はすぐに変わるし、変わることを前提としていなければ結局、受け手が損をすることになりかねない。
NTTドコモの長期優良ユーザーだったが、この「長期契約していて優良な顧客である」のはNTTにとっての優良顧客であって、顧客からは何のメリットもない。店はいつの間にか来店客の対応を予約制で受けるようになっていた。
ぶらりと店に行って、「ちょっとここが悪いのだけど・・・」と言って修理してもらうことはなくなった。事前に予約して、「何月何日何時」に行きますという事前の約束が必要になった。これもずいぶん前からである。
新型コロナウイルスに伴う「特別定額給付金」も最初は30万円で所得制限ありだった。「年金生活者だと確実にもらえないね」とあきらめていたら、何がどういう具合に変わったのか分からないまま、所得制限なしの全員給付になった。もらえるようになった。
■オンライン申請はマイナンバーカード受付システムを通じて
「特別定額給付金」を所管する総務省の高市早苗(たかいち・さなえ)総務相は同給付金制度の閣議決定後の会見(4月20日)で、①迅速に現金が行き渡ること②感染拡大防止のため、申請から入金までの全ての手続きを非接触型で行うこと③市区町村の事務負担について、可能な限りの軽減を行うー方針を示した。
また「オンラインでも申請していただけるようにする」と述べ、マイナンバーカードを活用した受付システムで申請するよう誘導を図った。「同受付システムで申請すれば、結果的に現金が皆様のお手元に届き始めるのは早い」と考えたためだと述べた。
私の住む練馬区は5月7日から子育てや法人登記などのオンライン申請のできる「マイナポータル」でも今回の10万円の「特別定額給付金」のオンライン申請の受付を開始、15日からは申請書を同封したお知らせを順次各家庭に郵送し始めた。
■電子署名付与に必要なカードリーダがなく申請できなかった
オンライン申請の方が先行していたことの上、マイナンバーカードも持っていたこともあって簡単かと思って8日に実際に申請してみた。しかし、オンライン申請はマイナンバーカードをパソコンに接続する際に必要なカードリーダーが必要なため、それを持っていない自分は申請できなかった。カードの読み取りも説明不足が甚だしく、それでうまくいかなかった例がかなり報告されている。
カードリーダーがなくてもスマートフォンで読み取りが可能だが、スマホのバージョンに制限があって、自分の持つスマホは受け付けられなかった。どれでもOKというわけでもなく、苦労した挙げ句、結局オンライン申請は断念したケースも多いとみられる。
自分の利用しているパソコンかスマホの環境が電子署名を付与できるかどうかを確認しなければならない。OSの種類やバージョン、ブラウザの種類・バージョン、マイナポータルAP(アプリケーション)のインストールのあと、最後のステップ4としてマイナンバーを持っている、署名用電子証明書の暗証番号(パスワード)を覚えているとあって、最後の最後に「マイナンバーカードに対応してICカードリーダライタを持っているかどうか」を聞かれる。
この最後の最後でリーダを持っていなかった。実はこのことは所得税の確定申告の際に分かっていた。ICカードリーダを買っていればクリアできたと思う。しかし、年1回使うだけの電子機器を3000円払って買うべきかと悩んでいた。
一部自治体の窓口にはマイナンバーカードの忘れた暗証番号の問い合わせなどが殺到し、「4時間待ち」のところも出てくるなど、てんやわんやの事態も起こっているという。今の時点でマイナンバーカードを申請しても入手できるのは1~2カ月後。
オンラインなのは申請だけで、後は自治体職員による手作業のため、郵送による申請より時間がかかる可能性も指摘されている。
■日本型”じたばた民主主義”の中に生きる
結局、オンライン申請は断念し、郵送に依存することにした。わが家にお知らせが配達されたのは12日朝だった。同じ練馬区内に住む息子の家には9日に着いていたというが、地区によって速い遅いが出てくるのはやむを得ないものなのだろう。
朝日新聞によると、多数の人口を抱える首都圏の自治体では担当者らが悲鳴を上げているという。人口約69万人の足立区は、ホームページなどで「給付は6月下旬以降」と伝えている。担当課長は「区は個人口座を把握しておらず、時間がかかってしまう」という。
4月30日には約60人にいち早く振り込んだ北海道・東川町の例や独自に「上乗せ」する町や地元を応援する「川崎じもと応援券」を発行する神奈川県川崎市の例もある。
東京都練馬区は大都市圏の中でも一番速いほうではないか。こういうものはどうしても「速い遅い」が付きものだ。住民は勝手である。へたに遅いと罵倒され、速くてもそんなに有り難がられない。われわれはこういう”日本型じたばた民主主義”の中に生きている。