小池百合子都知事再選=コロナ下の選挙戦で圧勝ー何をやるにも必要なのは財源
■小池知事再選、新型コロナ対策では第2波への備え強調
任期満了に伴う東京都知事選挙が5日投開票され、現職の小池百合子氏(67)が再選を決めた。1期目の実績や新型コロナウイルス対策の推進などを掲げ、元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(73)や、れいわ新選組代表の山本太郎氏(45)らを破った。
国民主権党候補のようにポスターに堂々と「コロナはただの風邪。マスク、ソーシャルディスタンス、3密避ける、自粛は必要なし」とうたった人もいる。もちろん新生活様式にも反対だ。
小池氏の得票は結果的に340万票を超え、前回の約291万票を上回る圧勝となった。小池氏圧勝の理由は新型コロナウイルス対策に引き続きしっかり力を入れてもらいたい都民の意向を反映したもので、小池氏も「新型コロナは次の第2波に備える重要な時期だ。しっかりと対応したい」と述べた。
新型コロナ対策としては新たに約3000億円の補正予算を組み、感染に関する調査や研究を担う東京版CDC(疾病対策センター)の創設などに充てる考えを示した。新しく組織を創設するのではなく、既存の組織を活用してCDCのような機能的な組織を作る方針だ。
また2021年に延期された東京五輪・パラリンピックでは、追加費用の分担や大会の簡素化に向け、国や大会組織委員会との協力関係を築けるかも焦点で、合理化や簡素化を進めていく姿勢を強調した。
■最悪試算は1日9000人が入院
小池氏の最大の課題は足元で感染が広がるコロナ対策だ。1日当たりの感染者数が4日連続で100人を超えている。とりわけ新宿、池袋などの「夜の繁華街」で増えている。5日だけでも111人の感染者がおり、うち46人は新宿エリアの夜の街関連だった。
ホストクラブやナイトクラブなどでの感染が目立っている。都は夜の街関連者との話し合いで彼らの協力関係を構築しつつ、積極的にPCR検査の受診を進めており、陽性者の増加もその一環だ。数が増えること自体問題というよりも必然的に増えるものだと受け止めるべきだ。
特にホストクラブは稼げないホストほど共同で生活するファミリー的な存在で、1人が罹ると芋づる的に罹りやすい。それを1つ1つ丁寧につぶしている現状だ。それでも新規に出てくるのは必然で、我慢も必要だ。
夜の街関連者よりも、重要なのは若年者の無症状感染者。感染経路の分からない若者が多い。彼らが市中感染を広げているのではないか。この点は注意してしすぎることはない。
医療体制の再構築も2期目の小池知事の大きな課題だ。都は現時点で新型コロナの患者向けに約1000床を確保している。最大で4000床を目指している。政府の専門家会議は最悪のケースで9000人が入院すると試算しており、市中感染が広がれば一気に病床が不足する事態になりかねないからだ。
一刻も早くウイルスが開発されてほしい。都民の願いは切実だ。
■必要なのは財源だ
第2波は経済を動かしながら対応する必要がある。各民間企業に「休業要請」をしたくても、簡単ではない。協力金をばらまいた結果、財政事情が大幅に悪化した。そのための資金ではあったが、9000億円が1000億円くらいに減った。
何をやるにも財源が必要だ。都債発行は限界があり、いつも国との配分をどうするかで悩まされる。
香港の混乱は小池氏肝いりの金融都市構想にとっては追い風だ。そううまくいくわけではない。楽なことばかりではない。