自民党第26代総裁に菅義偉氏=岸田、石破両氏に圧勝
報道の世界に入ったときから政治の世界は好きではなかった。どうしてもパワーゲームになるからだ。所詮は権力闘争である。人の足の引っ張り合いである。担当したのは多岐にわたったものの、専門として担ったのは経済畑が中心だった。
そういうこともあって安倍晋三政権に対しても横にらみで見ていた。世襲議員だったし、あまりにも毛並みの良さを吹聴する体質も嫌いだった。あまのじゃくはなかなか物事を冷静に見られない。
年齢も今年7月で72歳になった。そろそろ引退かなと思っていたら、安倍首相の後任に座った菅義偉(すが・よしひで)官房長官は71歳。1948年12月6日生まれだから同級生。昭和23年生まれである。「団塊の世代」でもある。
菅義偉官房長官(71)は377票、岸田文雄政調会長(63)の89票、石破茂元幹事長(63)の68票をそれぞれ上回った。全体534票のうち7割を占めた。菅氏の圧勝だった。
昭和23年生まれが自民党総裁である。内閣総理大臣である。その彼が首相になった(16日召集の臨時国会で指名の予定)。長年の権力闘争を戦ってそれに勝利した者の政治が始まる。
菅氏は安倍首相の後継だから、任期も彼の任期切れとなる2021年9月までの1年間。現政権は依然高い支持率を持っており、選挙は早いほうが有利だとの声も党内にはあるものの、菅氏は早期衆院解散には慎重姿勢だ。
菅新総裁は党本部で開いた記者会見で、「せっかく総裁に就任したのだから仕事をしたい」と述べ、早期衆院解散に慎重な見方を示したそうである。彼が71でこれから「仕事をしたい」という。引退などとは言っておれない。