よく分からないまま終わった屋根葺き替え工事=何と言っても消費税10%が辛かった
■業者からの指摘がきっかけ
人も年が経てば老いるし、それは住宅も同じだ。25年経つのを機会に屋根を改修することにした。昨年10月の台風で建築して25年になるスレート屋根の一部が風に飛ばされ、飛んでいってしまっていると業者から指摘を受けたことがきっかけだ。
指摘を受けて初めて屋根の一部が落ちていたのに気付いた。地主さんが土地を3等分し、それを売りに出していた。ほぼ同じ時期に購入した。隣りやその隣りも既に改修工事を行っており、わが家も風前の灯火だとは思っていた。
しかしなかなか工事には踏ん切れないものである。何かきっかけが必要だ。屋根の一部が風に飛ばされた。そこに雨が降れば、しばらくは防水シートで持つものの、いずれその下に浸水してくるのは必定だ。雨漏りがしてくる。それがきっかけになった。
大切な財産である建物の資産価値を維持向上させるためには、定期的なメンテナンスが欠かせない。家の寿命は屋根と壁で決まる。不定期で怖いのは地震だが、秋は台風の季節である。
わが家はたまたま行った住宅展示場で最初に入った殖産住宅(東京都新宿区)で建てた。住宅価格は高騰し、持ち家など夢物語だったが、メーカーの話を聞いているうちに自分でも購入できるような気がして、「建てる土地を見つけてくれるなら」という条件付きでOKした。25年前のことだ。
今では雨後の竹の子のごとく、建売住宅が建ち並んでいるが、当時は駅までの間、空き地を見つけるのは大変だった。それでもあるところにはあるものだ。殖産の営業マンが土地を見つけてきて、あれよあれよという間に家を建てた。あれから25年。昔の殖産住宅は東証1部上場の木造住宅の大手だったが、その後経営破綻し、今はリフォーム専業会社になっていた。
■素材を上にかぶせるカバー工法で
これまでの屋根は塗装が一般的だが、最近は既存の屋根の上に新規の屋根素材をかぶせるカバー工法での葺き替えが増えているという。25年間日々経年劣化し、わが家のスレート屋根の場合、ひび割れや反りが生じ、寿命になっていた。
金属屋根の場合はサビやそれによる穴あき、セメント瓦の場合、割れや欠けができるという。普段は自分の目で屋根を見ることはなかなか難しいのが普通で、気が付かないまま放置されることがほとんどだ。
新興住宅地などにはさまざまな業者が入り込んでおり、業者の目から見れば、その家の症状はくっきりと分かるという。時々、営業もかねてドアをノックして指摘することが多い。わが家も業者の「指摘」で問題点を認識できた。残念ながらその業者には発注しなかったが、五月蠅と思う半面、それがきっかけになったとも言える。
■使用したのはかわらの「efルーフ」
今回使用したのは金属屋根材・外壁材製造元の福泉工業(大阪府堺市)のかわら「efルーフ」。同社パンフレットによると、ちち”み塗膜+硬質ウレタンフォームを使った超軽量かわら。地震や台風に心強く、断熱性に優れ、ソーラー取り付けが可能だという。
・高遮音・高断熱・・・efルーフの裏面は硬質ウレタンフォーム(ノンフロン)を吹き付けているので(9mm),気になる雨音が軽減される。断熱効果も抜群で快適な住まいを実現する。
・地震に強い・・・efルーフは日本瓦の約10分の1の軽さ。建物への負担が少なく、施工もスピーディー。工事期間中の仮住まいも不要。
・色あせに強い・・・efルーフは原板に「ヨドネオマットGL」(正式名称はヨドコウ特殊ちち”み意匠塗装ガルバリウム鋼板)を使用。表面は高耐候性ポリエステル樹脂塗装を用い、優れた耐久性、耐候性を発揮し、いつまでも美しい外観を守る。
■都会では金属屋根が主流に
屋根と言えば、瓦屋根というイメージが強い。田舎に行くと、ほとんどの家が瓦屋根だ。しかし、日本は地震国。いつの間にか瓦屋根という屋根材の重量が屋根にとってはデメリットとして広く認識されてしまった。都会の屋根で瓦屋根を見ることは旧家だけになってしまった。
屋根リフォーム業界で一大旋風を巻き起こしているのがこの金属屋根素材だ。しかし、各メーカーが販売している商品についてもどのような特徴があるか知ることが必要だ。屋根の葺き替えが終わってからでは遅いのだが、自分で理解してから発注してほしいと言われても何をどう発注して良いかも難しいのが実情だ。
うちはたまたま殖産で建てたこともあって、殖産が推奨する福泉工業のefルーフを使ったが、ほかにもいろいろあることを工事が終わってから知った。大阪の屋根工事屋「株式会社ゼファン」のHPを見ていたら、メーカーごとの商品の特徴をまとめていた。
アイジー工業の「スーパーガルテクト」、ニチハの「横暖ルーフ@s」、ケイミュー「スマートメタル」などで4番目に福泉工業のefルーフが出てきた。
素材はガルバリウム鋼板、メーカー穴あき保証25年、断熱材一体型(9mm硬質ウレタンフォーム+空気層)となっているが、「断熱材自体は9mmと非常に薄いのですが、空気層により屋根裏換気ができるため、野地板の結露防止が期待できます。ただし、屋根材のジョイント部分には断熱材が行き届いていないため、断熱性能に関してはそこまで期待できないかもですね」とコメントされている。
正直、足場を2週間で組み立て、実際に工事を行ったのは4日くらい。2週間のうち後の1週間はよく雨が降っていた。雨が降ったら工事はできない。難しいものだ。結局、工事屋任せになってしまった。
家も2軒目からようやく自分の納得のゆく家を建てられるようになるそうだが、屋根もそういうものらしい。専門家もいろんなレベルがある。その専門家がいいのか把握するのは極めて難しい。素人が多い屋根のリーフォームがはびこるゆえんである。
足場を組む関係で庭の植木がずいぶん荒れた。来春にはまた芽吹くだろうか。