空からの情報で農業経営に新たな視点を、決定的に足りないのは「図面」=スカイマティクス

 

 

スカイマティクス社のブース

 

■「空からの情報」で農業経営に新たな視点を

 

スカイマティクス社の渡邉善太郎社長は10月15日、第10回農業Weekの特別講演で、「ドローンと画像解析技術を活用したスマート農業の取組み」と題して話した。「スマートフォンというのは使えるのだな」ということを感じてもらいたいと述べた。

・2016年10月に会社設立した。「スカイ」(空)と「インフォマティクス」(情報学)を掛け合わせた造語で、空からの無限の情報を世の中に届けたいという思いを込めて作った。社員30名弱。6~7割がソフトウェアエンジニア。ドローン技術者は1人もいない。

・ドローンの歴史はまだ浅く、空からの画像は衛星画像で解析されてきた。

・当社の技術は2つ。デジタル画像解析(AI含む)、それから解析したものについて、位置を特定して渡す地理空間情報システムの2つを保有している。

・この2つの技術を使って解析し、クラウド環境で配信し、普通に使えるアプリに落とし込む。リモートセンシングやAIを意識することなくスマホのように使えるようにする取り組みを行っている。

・農業だけでなく、建設業界、防災業界など様々な業界で使ってもらっている。他業界で培った技術を農業にも応用する。

・1人1人に産業を革新する新しい視点と力を与えたい。自分の視点を変えることによって自分の考え方や自分の取り組み方を変えることができる。

・農業業界も人によっては3Kだと言われることが多い、3Kと言われる業界、業務をテクノロジーの力で視点と力を変えることによって変革したい。

・農業経営に新たな視点を持ち込みたい。

 

■農業に足らないのは「図面」

 

・Overview Effect(概観効果)。旧ソ連の宇宙飛行士の言葉「地球は青かった」。青い地球を守らなければならない。地球環境保護という概念に変わった。空からの視点によって人生観や未来観が変わることを「Overview Effect」(概観効果)と呼ぶ。

・われわれのやっていることは空からのデータを皆様にお届けすることによって農業経営の仕組みを変える。それによって未来の農業経営を皆様自身が作っていくことを手伝いたい。

・これを農業に落とし込むと、目に見えないものを見えるようにしていくこと。未来の農業を見えるようにしていく。こういうOverview 効果を与える。

・人の目に見えないものを見えるようにする。見回らなくても生育状況が見えたり、お米の等級が分かったり、作付けの状態が分かる。経営情報を提供する。

・われわれはテクノロジー企業だ。未来の農業そのものを作ることはできない。それを作るのは生産者自身だ。そのためにわれわれが行うべきことは見えないものを見えるようにすること。

・これを実現するためには何が必要か。農業業界で決定的に足りないのは図面だ。農業も物を作って販売する行為においては製造業だが、農業には図面がない。勘とか経験とか暗黙知によって農業の伝承がされている。

・空からのデータを図面としてデータを分析して図面作りを行う会社だ。この図面ができれば単なる作業の効率化から初めて農業経営の変革につながる。図面がない状態で行っているときはピンポイント、ピンポイントで何かの作業を効率化しているが、図面を基に全ての情報を統合することによって経営の変革につながる。

・われわれが目指すのは農業からスマート農業へという言葉だ。「スマート農業」という言葉は一種特別な言葉だ。これから数年で「スマート農業」が「農業」へ変質すると考える。数年後にはスマート農業という言葉は使われなくなる。

・10年程前までは精密農業という言い方が使われていたが、今はほとんど使われていない。視点が移ったからだ。定義は各社によって違う。

・われわれが目指すのは3K→4kだ。3Kは「きつい、きたない、危険(稼げない)」。4Kは「快適、効果的、格好良い、稼げる」に変えていきたい。

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