「春日灯篭」「織部灯篭」などを集めたミニ日本庭園が面白い板橋区立赤塚植物園

 

センダンの木

 

■緊急事態宣言下、昼も外出はダメよ

 

13日(水)の昼下がり、関東地方はあまりに天気が良いのでいつも初詣に行っている浄土宗・乗蓮寺(東京大仏)に行った。コロナウイルスのお祓いをしてもらいたいと思ったが、臨時休業だった。

仕方がないので駐車場に車を止め、すぐそばの板橋区立赤塚植物園(板橋区赤塚5)にまわった。こちらも3月中旬まで「園路の改修工事中」だったが、それを気にしなければ園内には自由に入れた。しかも無料で。

 

ミニ日本庭園

赤塚植物園は武蔵野の面影を色濃く残す、赤塚の丘陵地を活用した植物園。本園と万葉薬用園からなり、本園には四季の道、野草の道、針葉樹の森などがあり、4月には板橋区の花・ニリンソウが咲き乱れるらしい。昔来たことがあるが、思い出せない。今年も新型コロナウイルスの大流行で、見られるのだろうか。

尾身茂会長は13日夜、菅首相の記者会見に同席し、新型コロナ感染対策について、「自粛疲れということで、去年ぐらいから国民の協力が得られなくなってきている。いま最もやるべきことは昼夜を問わず、外出をなるべく控えてもらうということだ」と述べた。

政府は1月8日から2月7日までの間、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県について「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」を発令した。具体的には飲食を伴うものが中心で、飲食店に対する営業時間短縮、外出自粛の、テレワークの推進を要請した。

特に「外出・移動」については「不要不急の外出や移動については自粛を要請」している。実効性を高めるために「日中も含めた外出自粛の徹底」を求めている。ただ、「出勤や通院、散歩など、生活や健康の維持に必要な外出・移動は除かれる」。

これまでは「午後8時以降の外出自粛」ばかりが言われていた。「昼夜を問わず」という言い方はされてこなかった。メッセージが伝わりにくかった。しかし、13日夜の時点から誰もが昼も外出禁止を言い始めた。

「要は昼も夜も外出するな」ということだ。オフィス街のレストランなどは壊滅的打撃を受ける。あんまりこれを声高で言うと、経済がダウンする。しかし、そうも言えなくなってきたということなのかもしれない。

 

ヤブコウジの実

 

植物園は1月ということもあって、ヤブコウジの実とスイセンが咲いているだけだった。梅も早咲きがほころび始めたものの、大半の蕾はまだ固い。見る物が何もないと思っていたら、意外なものが見つかった。灯篭である。

日本の伝統的な照明器具の一種。「灯」を旧字体で「燈」、「籠」を異体字で「篭」と表記する場合もある。ここでは表記者の案に従う。

 

■一画で見つけた灯篭の”群れ”

 

春日灯篭

普通、灯篭と言えば、見掛けるのは神社や寺院。存在に気がついているものの、だからと言って深く考えたこともない。神社には付きもの程度に思っていた。「終活ねっと」が「灯篭とは」と書いている。

灯篭とは読んで字の如く、「灯の篭(かご)」のこと。灯の火が消えないように囲いをしたものを指す。石の灯篭のほか、金属の灯篭も見掛けたことがある。お寺の軒に吊り下げ型のものを見掛けることあるという。

仏像に灯をともすために仏道の前に置かれたが、その後、神社の献灯として使われるようになった。室内で使われるものとしては行灯(あんどん)や、折りたたみが可能な提灯へと別れていったという。

現代では庭や寺院、街道など屋外で使用されているものを指すようになっている。光源は油かロウソクだった。神社や寺院ではお祭りの時に灯が灯されたりする。日本の伝統的な照明器具。先祖の供養を行う祭りである灯篭流しで使われる。

構造は上から宝珠(一番てっぺんにある玉ねぎみたいな形のもの)、傘(屋根のようなもの)、火袋(火が入るところ)、竿(長い柱の部分)、基礎(土台)でできている。

一般的に最も馴染みのある形の灯篭が「春日灯篭」。灯篭と言えば、これを想像する人が多い。奈良の春日神社で使われていたのが始まりで、火袋には鹿が掘られているという。竿と呼ばれる足の部分が長くて、高い位置に灯をともす火袋がある。背の高い灯篭だ。

 

雪見灯篭

 

日本庭園によく見られるのが「雪見灯篭」。「浮見」が変化した語である。傘が大きくて風情がある灯篭だ。水面を照らす目的で作られているので、池のそばなどに置かれている。また背が低く、丸い形が特徴の可愛らしい灯篭だ。

足は3本のものが主流で、笠の丸い丸雪見と六角形の六角雪見がある。

織部灯篭

 

茶人「織部」が好んだ灯篭だ。千利休の弟子、吉田織部(1543ー1615)はキリシタンだったとする説がある。利休の高弟「利休7哲」と呼ばれた蒲生氏郷高山右近、芝山監物、瀬田掃部牧村兵部、細川忠興、吉田織部のうち入信者が4人もいる。

織部はキリシタンではないが、「キリスト教的なものに触れる機会が多分にあったと思われる」とされる。いずれにせよ、茶会の灯りをともすために作られたのが始まりだという。

背の高い灯篭だが、地味でひっそり。シンプルな灯篭だ。

 

落雁型灯篭

 

「燈籠」Wikipediaにはこの落雁形灯篭は乗っていない。ほかにも形を少しずつ変えた灯篭がたくさんあるようだ。

 

濡鷺形灯篭

 

袖形灯篭

 

燈籠.com」によると、袖形灯篭は形は極めてシンプル。元々は竿に開いた口の部分に釣り燈籠をかけておいてあったといわれる。

 

万葉・薬用園

 

センダン

 

万葉集に登場する薬草が植えられた万葉・薬用園が面白い。「せんだん」は冒頭に上げた木だが、「季節の花300」によると、秋に楕円形の実が枝一面に付き、落葉後も木に残っていた。数珠のようであることから「センダマ」(千珠)の意で命名されたという。

材は建築用装飾、家具、下駄などに用いられる。ことわざの「栴檀は双葉より芳し」(栴檀=白檀は発芽したころから芳香を放つことから、優れた人物は幼いときから他と違って優れていることを示すことわざ)の栴檀はこの栴檀ではなく、白檀(びゃくだん)という木のことを指す。白檀は別名を栴檀とも呼ぶ。

 

■旧田中家住宅

 

「まゆだま」が飾られていた

 

植物園から3分ほど歩いたところに美術館があって、そこは閉まっていたが、近くにある板橋区郷土資料館は開いていた。展示を眺めたあと、資料館の裏手にある古民家をのぞいた。

保存されているのは前谷津川に面する徳丸本村にあった旧田中家住宅。2つの座敷と勝手・納戸が田の字型となる間取りで、江戸時代以降の典型的な農家の造りとなっている。

大黒柱に「まゆだま」(繭玉)が飾られていた。高原社によると、マユダマ飾りはマユダマのようなだんごを柳や水木の枝にさしたもので、「餅花」の一種。

餅花は丸めた餅やだんごを柳の枝にさして作物の豊かな「稔り」を表現したものだ。

 

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