【山梨ドライブ】「花桃」を愛で「桃」の花を楽しむ中、開放感に浸れるのはやはり「ほったらかし温泉」
桃とワインを一緒に楽しめる山梨県に行ってきた。新型コロナウイルス感染拡大も2年目に入っており、今や第4波突入も懸念されている。そんな折り、緊急事態宣言が解除されながらも、関西圏などでまん延措置は打ち出され、警戒感あふれる中で、幾分開放感を味わった。
自己防衛の義務を果たしながら、束の間の自由を楽しむ。またいつ緊急事態宣言が再々発令されるかもしれない。警戒をしながら、できるだけ自粛要請に応えつつ、束の間の自由を楽しんだ。
いつコロナにかかるか、誰も分からない。命が奪われるかも分からない。自分の責任には義務も付いて回る。とにかく自主独立である。
■釈迦堂遺跡博物館周辺は花桃の観光スポット
1日午前7時半、練馬区の自宅を出発。行きは渋滞もなく、関越道から鶴ヶ島ジャンクションを経由して圏央道・八王子ジャンクションまで走った。そこからは中央自動車道に乗り1時間ほど走ると、そこはピンクを敷きつめたような桃源郷だった。
天気は快晴。釈迦堂PA(下り線)で駐車し、急勾配の石の階段を少し上がると、釈迦堂遺跡博物館の周辺はびっくりするような桃源郷が広がっていた。桜も満開である。博物館は2020年6月21日にリニューアルオープンしたばかり。
しかし今回の目的は桃だった。桜は全国区だが、桃は地方区。どこでも見られるものではない。山梨、長野、山形県など桃の産地に行かないと見られない。今回は山梨県だ。
■花を楽しむ観賞用の園芸種「花桃」
「花桃」の花の価値は桜や梅に似ているが、花自体はそれらよりも大きく、花びらが幾重にも重なっているため、何ともゴージャスな印象を受ける。見頃の時期は2週間ほどあり、桜よりも長く花見を楽しめるのが魅力的だ。
観賞用の花桃は食用の桃とはまったく別物。花桃は果実ではなく、花を楽しむ観賞用の園芸種として開発された。赤、ピンク、白の三色が基本だが、1本の枝から3色の花が咲く「三色花桃」もある。
どこの里も郷土振興のため色んな趣向を凝らしているが、長野県下の阿智村では昼神温泉郷と月川温泉郷で「花桃まつり」が開催されるようである。
■花芽を取る作業が「摘蕾」
『桃の木の剪定』によると、桃の木は、たくさん日が当たるようにすると、甘くおいしい実を付ける。植え付けから4年目くらいまでは実を付けるような樹形を整え、木の幹にたくさんの日光を当てて株の生育を保つ必要がある。「Y字」に仕立て、左右バランスよく枝を広げていく。
4年目以降は既にY字に樹形が整っているので、新しく伸びた枝の先端を3分の1ほどの長さに切り戻し、混みすぎているようならば、枝を間引いて風通しをよくする。
桃で厄介なのが摘蕾(てきらい)・摘果(てきか)作業。実る果実の数を減らす。残った実に栄養が行き渡り、甘くおいしい実を収穫できるようにする。また株や根への負担を減らすことができ、翌年以降の生長にも良い影響を与える。
花が開く前の2月下旬~4月中旬に、枝に付いた蕾を手や剪定バサミで摘み取っていくのが摘蕾。木全体の50~80%の蕾を落とす。75%が理想だとか。ただ品種によっては結実しづらい品種もあるので、摘蕾は「白鳳」や「あかつき」など花粉の多い品種のみ行うという。
実がまだ青い4月下旬~7月に、摘果を行って選別する。桃は不要な実が自然に落ちる「生理落果」があるので、その前後に行う。最初の摘果はその後にそれぞれの枝に実が6~4個残るようにし、実を摘み取る。
さらに実が大きくなった5月下旬~7月に2回目の摘果をして仕上げる。それぞれの枝に実が1~2個残るように摘み取るのがポイントだ。
今回のドライブは2泊3日。最後の日にはやはり「ほったらかし温泉」(山梨県山梨市矢坪)に浸かって帰ることにした。この10年間で3度ほど来ている。
都市公園である「笛吹川フルーツ公園」のさらに上にある日の出と富士山や甲府盆地の眺望が売り物の温泉で、客を客扱いせず「ほったらかし」にするシンプルかつユニークさが人気を呼んでいる。
■窓もなく柱もない湯船に浸かる開放感
「こっちの湯」(元湯)と「あっちの湯」(新湯)があり、あっちの湯のほうが2倍大きい。この日は一番最初に来たときに入った「こっちの湯」に浸かった。
脱衣場に入って衣類を脱ぐと、外は露天風呂。風呂には屋根がない。湯船があるだけで、建物は何もない。右が「あつ湯」、左は「ぬる湯」である。少し低いところに別の露天がある。洗い場以外には何もない。浴槽があるだけで屋根も窓もない。
自然と体が一体となったように感じる。びっくりするほど開放感だ。こんな開放感のある温泉を私は知らない。自宅の風呂ならもっと厳重に隔離されている。営業は日の出1時間前に始まるという。
過剰なサービスはなくても、来場客を満足させるためのサービス精神はしっかりと備わっていることを知った。常岡太郎社長は「事業構想」(2016年12月号)のインタビュー記事の中で、「あえて差別化したというより、(1999年の)創業当時、本当に資金がなかったんです」と述べている。
創業スタッフはわずか3人。「行き届いたサービスは提供できない」ことを客に事前に伝える意味を込め、創業者である父、常岡通氏が絞り出したのが、ほったらかし温泉のネーミングだ、という。
■機械には勝てない!
今回最初に訪れた「釈迦堂PA」。花桃の切り花を3日間も車の中に仕舞っておくのははばかられて、帰路に再び立ち寄ることにしていた。しかし、ほったらかし温泉に気持ち良く浸かった結果、釈迦堂PA(上り線)に立ち寄ったのは午後5時半を過ぎていた。
それでもひょっとしたらと思って急いで行ったら、博物館前の「駒沢農園」は閉店作業を行っていた。帰りに買おうと思っていたとこちらの事情を告げたら、農園の1人が畑に行って見事な花桃を切ってくれた。感謝、感謝である。
今は機械が中心の時代だ。人間は機械に適合することが求められる。機械は人間の事情など斟酌しない。駄目なものはだめである。売り切れれば追加はできない。花などとても無理だ。
しかし、駒沢農園は機械ではなかった。人が作業をしていた。こちらの話を聞いて、その話に同情して切り花をどうしてもほしいとのこちらの願いを聞き入れてくれた。機械ではとてもできないことだ。
東京に戻った翌日、孫が来て味噌ラーメンが食べたいと言った。調べると練馬駅近くに北海道らーめん「ひむろ」(練馬区豊玉北6)があり、そこの味噌らーめんがおいしいという。そこで「練馬駅北口地下駐車場」(収容台数490台)を利用した。
しかし、同駐車場は機械仕掛けだった。管理事務所には人もいたが、機械に対応を任せ、料金トラブルに対応してくれなかった。機械は人間の言うことを聞いてくれない。機械と争っても負けるだけだ。嫌な時代に住んでいる。