コロナ禍でも春は必ずやって来る都立石神井公園

 

今年もわが家の庭に咲いたクレマチス

 

■思い出すのは「クレマチスの丘」

 

花はいいものだ。何があってもきちんと育てていれば、それに応えてくれる。育てると言っても、時々水をやるだけである。去年も4月中頃には花が開いた。今年も同じ頃から咲いている。

しかし今年は房が去年と比べれば少ない。どうしたのだろうか。これまで確認したのは2輪だけだ。去年は4輪が同時に咲き誇った。毎年それほど多くの花が咲くものではないとは思うが、やむを得ない事情があるのだろうか。

クレマチスと聞くと、つい思い出すのは静岡県駿東郡長泉町にある「クレマチスの丘」。原産国は中国で、鉄線蓮(テッセンハス)と呼ばれていた。日本には1661~71年頃に入ってきて、欧州には1776年に紹介された。

しかし、今は何でも洋風に言ってみるのが世の中的に受ける時代である。言葉の意味は「テッセン」のほうが明確だが、何となく「クレマチス」のほうが通りがよい。現代はそういう時代だ。長泉町は全国のクレマチス生産量のうち約6割を栽培しているクレマチスのメッカなのだ。

ここに最初に出来た施設が1973年(昭和48)に開館した「ベルナール・ビュフェ美術館」。黒い直線とモノトーンの色彩により独自の画風を築いたフランスの画家ベルナール・ビュフェの作品を収蔵・展示する美術館だ。自然豊かなこの土地の景色がビュフェが生涯描き続けたフランス・ブルターニュによく似ているという。

「クレマチスの丘」はアートと花と食を楽しめる複合文化施設として2002年(平成14)にオープンした。アートや花、そして食事を、1日かけてゆっくり楽しめるように作られている。

私が最初に行ったのは恐らくオープン直後だったはずだ。イタリアの彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの作品が至るところに展示してあり、それをヴァンジ彫刻庭園美術館と呼んでいた。

クレマチスのほか、たくさんのバラも咲いていて、心が洗われたことを思い出す。もう一度行きたいと思っているが、まだ実現できていない。

 

石神井川で見つけたコサギ(4月27日12時22分)

 

■コサギ発見

 

石神井川でコサギを見つけた。ちょうど1カ月前の3月27日に光が丘公園のバードサンクチュアリーに展示してあった「アオサギ」のはく製と上体は同じなので、アオサギかなと思ったが、どうもコサギらしい。最初、アオサギで掲載したが、訂正したい。

石神井川(しゃくじいがわ)でサギやカモを見る機会が増えたのは環境整備が進んでいることの証。石神井川は東京都を流れる一級河川。荒川水系の支流の1つ。流路延長25.2km、流域面積61.6km。

水源は小金井ゴルフ場(小金井市花小金井南町)。北区掘留の隅田川に流れ込む。第2次大戦直後は田園を流れる小川にすぎなかったが、宅地化に伴い汚染が進み、1970年代(昭和50年前後)にはドブ川と化した。

その後、流域の下水道普及率が進み、水質は改善され、晴天時であれば水質はかなり良好で透明度は高いレベルにある。しかし、豪雨時などには下水が排出されるため、水質は一時的に悪化する。

魚はコイ、アブラハヤ、モツゴなどが生息し、甲殻類ではモクズガニやアメリカザリガニが生息する。北区王子付近の流路変更に伴い、魚が遡上できないため、アユなどは確認されていない。

最近よく見掛けるサギなどはこういう魚をエサにしているようだ。

中流域の石神井公園(練馬区)から上御成橋や栄橋近辺の川添いから上流方向(ほぼ真西)に、山梨県甲州市などにまたがる大菩薩嶺(2057m)や小金沢山(2014m)、黒岳(1988m)、熊沢山(1978m)などの甲州アルプスを眺望できるらしい。

石神井川はまだ全域を踏破していない。全流路を走破している人のブログもある。そういう人には感服である。

 

石神井池のどなたかの家のフェンスで咲き乱れていたツルハナナス

 

植物の育て方図鑑「ヤサシイエンゲイ」によると、ナス科の南アメリカ原産の常緑つる性樹木。日本には大正時代に入ってきた。細かく枝分かれしてつるの長さは4~6mになる。生育旺盛で、花もよく咲くので、フェンスや壁面に絡ませるのに適している。

初夏~秋に、星形の花をたくさん咲かせる。大きさは径2~3cmほどで、香りがある。開いたときは淡紫色で、咲き進んでいくと白くなる。ひとつの株に色違いの花が混ざって咲いているように見える。白花の品種や葉に黄色い縁取りの入る斑入り種もあるようだ。

つる性でナスに似た花を咲かせるので、ツルハナナスと呼ぶようになったといわれる。

 

水辺にカキツバタが咲いていた

 

こちらはキショウブ(黄菖蒲)か

 

■「いずれがアヤメかカキツバタ」

 

カキツバタは古来より日本にある植物で、江戸時代前半から鑑賞用に多くの品種が改良された古典園芸植物だという。夏の気配がしてくる初夏から5~6月頃に浅い水辺から50~70cmの丈を伸ばし深みのある鮮やかな青色の花を咲かせる。

日本最古の和歌集である万葉集や900年代の書物、伊勢物語にも和歌で詠われ、その魅力は人々に愛され続けている.江戸時代には尾形光琳の描いた「燕子花」と「ハつ橋」が名高いようだ。

江戸時代にはアヤメ(菖蒲)の人気が出てきて、よく似た花の形をしていることから、「いずれがアヤメか、カキツバタ」(どちらもすぐれていて、選択に迷うこと)との慣用句も生まれたという。

カキツバタは浅い水辺で茎を出し花を咲かせるのに対し、アヤメ(菖蒲)は乾燥した土から茎を出し、花を咲かせる。花もカキツバタは花びらの中央が真っ白な剣型の模様があるのに対し、アヤメの花びらの中央には網目模様がある。葉もカキツバタは幅が広く柔らかいのに対し、アヤメの葉は幅が細く固い葉をしているという。

 

自転車で「サブレ」を売っているお姉さん

 

■自転車に乗って「サブレ」を売ってます!

 

石神井池を歩いていると、自転車でサブレを売っているお姉さんに会った。自分がオカメインコを飼っていて、それからオカメサブレを焼き続け、改良を重ね、サックサックのサブレにしたという。

これも縁なので2枚買った。1枚380円也。どうやらまた食べたくなる味らしくてリピーターが多いという。自分で「これはお菓子の新たな定番です」と言っていた。

 

世界に1つしかないオカメサブレ

 

手作り感たっぷりのサブレを実際に食べてみると実においしい

 

どうやら1枚1枚丁寧に焼いているらしく、とてもおいしかった。石神井池周辺には”小(大)金持ち”も多く、意外とよく売れるらしい。さっき来たところなのに、少し前にも買ってくれた人がいたし・・・。

まあ一度は買ってくれてもおいしくないと2度とは買わない。これが怖いが、おいしければやっていけますよ。

「お店もやっと持てたし・・・。ネットシップですが・・・」。「BIKE’S BAKE SHOP」

 

三宝寺池に藤の花が咲いていた

 

アップで撮るとこんな具合に

 

三宝寺池周辺では野生のフジが石神井城址後の木々を梢まで絡みついて花で覆って、巨大な「フジノキ」が出現している。甘い香りを放ちながら、薄紫や白の花房を垂らすフジ棚は意外と多い。

先々週行った都立八王子霊園でもフジ棚を見たし、近所でも散見している。珍しくないほどだが、フジ棚にたくさんの房が流れるように咲くフジの花は日本らしく予想外に人を引き付ける。

年齢を増すにしたがってその優美な佇まいに惚れ直すのだ。日本産のフジは固有種。本州、四国、九州の温帯から暖帯に、低山地や平地の林に分布する。低山地や平地の林縁、崖、林の中などによく見られる。

 

白毫寺「九尺ふじ」(2015年5月2日)

 

都内一のフジの名所は亀江戸天神社が有名だが、郷里の白毫寺(兵庫県丹波市市島町)で6年前に「九尺ふじ」を見たことを思い出した。足利フラワーセンターのフジもものすごいらしいが、見たのは夜だった。一度昼間にしっかり見てみたい。

世の中には驚くべきものが多い。長生きして見てみたい。

 

石神井城跡

 

■照姫まつりも2年連続で開催中止

 

室町時代に石神井領を領有していた豊島氏(としまうじ)の居城が三宝寺池南側台地にあったと言われる。城は中世の平城で、池と川という自然の地形を利用して造られたようだ。

豊島氏は文明9年(1477)、太田道灌との合戦に敗れ、この時城も落ちた。今では、わずかに空堀と土塁の遺構が残り、往時を偲ばせている。

「道灌の軍勢に追われた豊島家当主の泰経は、家宝の黄金の鞍を載せた白馬にまたがり三宝池に身を沈め、娘の照姫も悲嘆のあまりその後を追い池に身を投じた」と言い伝えられている。

練馬区2大まつりの1つ「照姫まつり」は昭和63年(1988)に行われ、今年の第34回目は新型コロナウイルス感染対策のために中止になった。昨年の第33回も開催中止に追い込まれ、結局2年連続で開催されなかった。

 

石垣の中から「ニシキヘビ」が体を現し日光浴をしていた

 

■実際に触ると印象ががらりと変わるニシキヘビ

 

三宝寺池の手前の石垣の中からニシキヘビが姿を現し日光浴をしている光景に遭遇した。東南アジアのジャングルの水辺にいるニシキヘビは最大で6mほどにもなるようだが、それに比べると小粒で小さい。大勢の人が観察していた。ある人によると、毎年、暖かくなると、外に出てくるという。

静岡市立日本平動物園では爬虫類館とふれあい動物園に1頭ずつ飼育しており、ふれあい動物園のニシキヘビは動物園まつりの時には一般の客とのふれあいを行っているという(恐らく今は中止になっているはず)。

多くの客は触る前は「ヘビはヌルヌルしていて気持ち悪い」と言っているが、実際に触るとほとんどの客は「サラサラしていて気持ちいい」と印象が180度変わるという。

同市立日本平動物園で飼育されているのはビルマニシキヘビで、全長3~6m、体重30㎏超。寿命は約20~30年だという。バッグや楽器などに使われる皮革取引のほか、最近ではペットとしても人気が高く乱獲され、今では激減しているらしい。

 

公園で遊ぶ子ども、もちろん近くには母親がいます

 

トチノキにも花が咲く

 

こちらは「ハクウンボク」(和田堀縁道)

 

沖縄を除く日本全土の山地に見られるエゴノキ科の落葉樹。朝鮮半島や中国にも分布する。5~6月にかけて白い小さな花が群がるように咲き、その様子が白雲に似ているとしてハクウンボク(白雲木)と名付けられた。花にはエゴノキと同じような甘い香りがある。

葉は円形で先端が尖り、裏面が白い。直径は20cm近くになり、成人男子の手よりも大きいものもある。葉の雰囲気が仏教における聖樹の1つ「沙羅双樹」に多少似ているため、沙羅双樹として日本の寺院に植栽されることがあるようだ。

 

これはミズキの花

 

これはナツツバキか

 

ナツツバキ(夏椿)は古くから寺院などの庭に「シャラノキ」と称して植えられてきた。幹は樹皮が灰褐色で薄く滑らか。花とともに高い観賞価値があるため、近年は家庭の庭にも好んで植えられるようになってきた。

5~6月頃、新梢の基部近くの葉腋に、直径5~7cmのツバキに似た白い5弁の花が咲く。ただし花は1日花で、開花後1日で落ちる。枝分かれが少なく、軽快な印象の楕円形の樹形となる。

このナツツバキを一回り小さくしたのがヒメシャラだ。ナツツバキに比べると、もっと可憐で自己主張に乏しい。そんな花が好みの人も少なくなく、ひっそりと咲いている。

せっかくなのでピシャリ

 

石神井池(ボート池)

 

かつては、三宝寺池から水路が引かれ、田圃が広がっていたが、昭和8年(1933)、この水路をせき止め、池が作られた。人工の池だ。周囲の緑がすばらしく、その緑を眺めながらボート遊びをするのも一興か。開放的で賑やかな雰囲気に満ちた公園だ。

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