大規模接種会場で新型コロナウイルスのワクチン予防接種
■ワクチン接種券、無事到着
待ちに待っていた「新型コロナウイルスワクチン接種券」(クーポン券)が5月26日(水)郵送されてきた。送り主は練馬区健康部住民接種担当課だ。
私は前期高齢者(65~74歳)に属する。接種には優先順位があり、医療従事者、後期高齢者(75歳以上)、前期高齢者、基礎疾患を有する者、高齢者施設等の従事者、一般の順。
ワクチン接種は2月に承認されたファイザー製を使い、医療従事者から始まった。対象は約480万人。次いで現在後期高齢者1600万人(13.3%)に対する接種が行われている。
そしてようやく前期高齢者の番が回ってきたが、結構混乱も起きている。実施はいずれも自治体によるもので、自治体によってスピード感がかなり違うのだ。どの自治体も他自治体を横目に見ながら競争している。
競争しながらも、独自の方式がありそうで、それを競っているといえそうだ。練馬区の場合、75歳以上の接種は5月22日から始まった。64~74歳への接種券は5月25日(火)に配送され、わが家には翌26日配達された。
最初はどうせ東京都は人口も多く、遅れるだろうと思っていたが、その通りだった。千葉など周辺県の知人からは「ワクチン予約取った」情報が相次いだが、東京都は音なしだった。医療従事者や後期高齢者も多く、大変だったんだろう。
■国の予約受付が決まって都では一部混乱も
接種券の発送を巡っては混乱を避けるために国が段階的に実施するよう各自治体に求めてきた経緯がある。接種を担当する河野太郎規制改革相は4月8日の記者会見で、自治体の状況に合わせ、「コールセンターの回線数や予約可能な数を見ながら段階的に発送することを考えていただきたい」と呼び掛けていた。
国の方針を受け、各自治体は集団接種や個別接種の準備状況に応じ、独自のスケジュールで接種券を発送。65歳以上の対象者全員に一斉に送ると予約の電話窓口やサイトに申し込みが殺到する恐れがあるため、発送時期を年齢別に分けているケースが多かった。
混乱が起きたのは国のワクチン接種の予約受付が急きょ決まったためだ。国の予約受付は17日に東京23区で始まったが、うち6区はまだ発送されていなかった。練馬区もその6区の1つだった。予約するには接種券に書かれている市町村コードと接種券番号が必要だからだ。
種々入ってくる他自治体の情報などが考えると、千葉県や神奈川県の出足は早かった。反対に埼玉県は遅い。東京都は大都市だけに遅い。練馬区はどうしたんだろうかと心配だった。
前川練馬区長は「国の要請も踏まえ対象者を細分化したにもかかわらず、唐突に接種会場を設置すると言われても対応できない」とのコメントを出した。私もコールセンターに何度も電話したが、電話はつながらなかった。
区では抗議電話に応えるため、当事者が本庁舎に出向けば市町村コードと接種券番号を本人に伝える対応を取った。20日夜、HPに告知された。それを見て私は翌21日午前9時に出頭し番号を入手したが、どうやら私が一番だったようだ。
■大規模会場で接種を決断
これらは予約前段階の混乱だが、実際に予約を取る段階でもさまざまな混乱が生じた。練馬区の場合、診療所(クリニック)での個別接種と病院・区立施設での集団接種が行われたが、接種会場の開示が遅かった。実際に予約を取ろうとしてもアクセスできなかった。
いつものかかり付け医に電話をしたら、翌週25日に練馬区健診(検診)の予定がありその時にワクチンの予約を取ってほしいと言われた。しかしかかり付け医では現在後期高齢者の接種を実施中で、75歳以下は「7月中旬以降」になる見通しと言われ、予約さえ取れなかった。「遅いですね」と言ったが、どうしようもなかった
かかり付け医は5月から11月にかけて練馬区の検診を実施中で、ワクチン接種はその合間を縫ってやらなければならない。当然ワクチン接種に割ける時間は限られる。病院や区立施設での集団接種もどこへ行けば早く打てるのか分からない。
どこにしようかと悩んでいるよりもワクチン接種専門で打ち続ける大規模会場での予約にすることを決めた。
大規模接種は自衛隊の医師らが担い手となり、1日当たり東京で最大1万人、大阪で5000人を打つ目標だ。5月24日から3カ月間で、菅義偉首相は7月末までに高齢者のワクチン接種を完了したいとの目標を打ち出した。
■大規模会場で1回目の接種
予約当日がやってきた。予約時間は午後7時だった。いつもより1時間早く自宅を出、大手町合同庁舎第3号館接種センターに着いたのは午後6時だった。少し早いようだったので途中駅の喫茶店でお茶でも飲んでいこうとも思ってが、むしろ混んでいる可能性もあり得ると考え直した。
案の上だった。1時間以上かかるとのことだった。この日から東京都以外に神奈川、千葉、埼玉などの65歳以上高齢者も対象に加わったことも響いたのかもしれない。予約した人が予約した時間に現れるのだから基本的に混雑しないはずだが、私みたいに1時間も早く来たりすると時間帯によっては滞留する。
接種は、予診票確認→予診→接種→証明書交付→経過観察→帰宅と流れがある。接種までが意外と長いのだ。大勢の人を処理するのでかなり機械的だが、そんなに簡単なことではない。実際の接種は1分程度だがそれに至るまでの確認作業が時間がかかる。
接種が終わっても接種が済んだことの証明書を発行してもらい、さらに2回目の予約を確認しなければならない。今回接種したのは米モデルナ製ワクチンで、2回目は28日~38日後の間に接種する必要があるという。最速で6月29日と言われた。
接種してもらうほうも大変だが、打つ方も決してラクではないはずだ。関係者の尽力には多大の謝意を表したい。